呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

松山旅行

 9月の23、24日の一泊二日で、嫁さんと四国は松山道後温泉へ行って参りました。

 昨日家に着いたのが夜の11時くらいで、延々と車の運転をしていたので腰が痛く、十分な睡眠を取れないままの出勤でしたので、読書もお休みしまして、何回かに分けて松山旅行の様子を記録しておこうと思います。

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 道後温泉は夜でも人がいっぱいで、商店街も活気がありましたねぇ。嫁さんが松山を大層気に入りまして、老後は住みたい、とまで言うておりました。

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 商店街アーケードも活気がありました。街によってはシャッター商店街など、ほとんどが閉店、昭和の繁栄の名残だけのアーケード街も日本中にある中、松山は駅前が元気でしたね。

 路面電車も便利で安い。

 そして松山城が良かった。

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 見応えのあるお城でしたね。リフトに乗って登城してきました。

 観光客もいっぱいで、人も温和、交通マナーもよく、渋滞した道で3度も譲ってもらいました。関西ではまず無理な場面でです。

 交通に関しては、名◯屋旅行で煽られまくった思い出と雲泥の差です(笑)。

 ホテル良し、料理良し、城良し、人良し、で終始嫁さんは上機嫌でした。おかげで恒例の「旅行中の大げんか」は勃発しませんでした。

久山秀子「刑事ふんづかまる」を読む

 相棒金平の新刊「コレハラ?」を読んだ。

 

コレハラ? (ヤングキングコミックス)

コレハラ? (ヤングキングコミックス)

 

 

 私はギャグ漫画に厳格である。笑いの構造を分析して吸収したい一心から、ギャグ漫画であるにも関わらず、最後まで眉間にシワを寄せたまま読了、みたいなこともしょっちゅうある。

 楽しんで読んではいるが、笑っていないことに気付くのである。

 なので、私がギャグ漫画を読んで声を出して笑うのは、無心になった時と、作家に笑いのツボを突かれた時、である。

 この「コレハラ?」はどうか。

 身内の贔屓目を抜きにして、プッと吹いたぞ、金平、このシーンで。

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 ちょっと大友入ってないか?(笑)

 あと、スメルハラスメントのこのシーン。

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 これ鉄男入ってないか?(笑)

 まぁ、声を出して笑ってしまったので、この勝負、お前の勝ちだ。

 担当さんの意見が入ったかどうかは聞いていないが、後半、今までにない金平の境地が垣間見える。

 神様の使いの出現とか、百合っぽい自問自答とか、リドルストーリーで一旦ぶち切ってからの、哲学者の一言とか、それにビジュアルが伴って、作者の高揚感が伝わってくる。

 小説を読んでいないのに、自己培養でマイ哲学を作り上げおった。

 キャリアの中でも傑作の部類だろう。

 多くの人の目に触れて欲しい一冊である。

 さて、今回は「刑事ふんづかまる」を読み終えた。

 短いものだが、良かった。連続で読み進めているが、その中でも気が利いていて面白い。

 高山刑事に付け回される隼お秀。警察がスリの一斉検挙で、部下や仲間たちが検挙されてはじめていた。

 現行犯逮捕でもないのに、どうして検挙できるのか? どうやら警察は証拠を握っているらしいが、それは一体何なのか?

 隼を逮捕しようと追い続ける高山刑事、お秀は映画館で高山刑事の財布を盗む。ここで計略を仕掛ける。

 映画館を出て高山刑事が「お茶を奢れ」と声をかける。ここが向こうの作戦なのだ。

 スリの現行犯ではなく、偽造紙幣の不正使用の現行犯で仲間は検挙されていったのだ。

 それを見抜いた隼お秀は、高山刑事に偽札を忍び込ませ、会計時に大恥をかかせる。隼お秀の痛快な啖呵切りもキャラクターにマッチしており、悪人の勝利なのに嫌味がない。

 

 1927年7月「探偵趣味」

久山秀子「どうもいいお天気ねえ」を読む

 この23日、急遽嫁さんと四国は松山、道後温泉へ旅行することになったのだが

「松山のグルメを調べとけ」

 と嫁さんが言うので、iPhoneで検索してみたのだ。

 すると「鯛めし」や「鯛そば」みたいなのがヒットする。

 どピンチである。

 鯛は苦手なのだ。

 小学生の頃、近所のおじさんが新鮮な鯛を釣ってきて、さばいて刺身を食わせてやる、と目の前で調理してくれた。

 しかし私は一口食べて吐いてしまったのだ。

 それから十数年、嫁さんのお父さんが鯛の刺身が大好物で、結納の席でそのお義父さんが釣った鯛の刺身が出た。

 一瞬ひるんだが、もう成人している。食も変化して、どうってことないだろう、と一口食べた瞬間、便所に駆け込んで戻してしまった。

 今思えば、嫁さんとの結納の席である。暗雲立ち込める未来の何事かを暗示していたのやもしれぬ(笑)

 なので鯛は私にとって、バルタン星人であるところのスペシウム。

 キカイダー、ジローにとってのギルの笛の音。

 ジャミラにとっての水、なのであった。

 鯛の店を避けるルートで行くつもりである。

 さて、本日は「どうもいいお天気ねえ」を読み終えた。

 前回がガチガチの本格テイストだったので、そっちに大きく舵を切るかと思いきや、今回は全く真逆ともいうべき、軽いユーモアタッチの掌編である。

 まぁ、この人はなんというか、目先を変えるのが好き、というか、実験精神が旺盛というか、本編の主人公は隼お秀の妹分「千代子」が主人公。

 妹分というだけあって千代子も「スリ」である。

 軽妙な会話の合間、時折社会風刺も絡めながら〜あたしが大臣になったら外国の尻を云々〜みたいな、痛快な女性の主張を入れて、でも現代では久山秀子は「男性」だ、というネタは割れているので、そういう目で見ると、男が男心をくすぐる手法が浮き彫りになって、なんだかこそばゆい。

 ホテルに間借りし、そこで犬を飼うことになった千代子、簡易電柱を作ってもらい、そこでおしっこをさせる調教をした。

 その犬をバスケットに入れて、電車に乗り、金持ちの紳士に離した犬を蹴飛ばされる。先ほどまでは全く隙が無かったのだが、犬が紳士のズボンを電柱と勘違いし、そこでおしっこをやった隙に……、というお話。

「スリ」というテーマで、さぁ、今後どこまで「あの手」「この手」が広がるか。

 

 1927年5月「文芸倶楽部」

三ノ宮の古本屋をブラブラと

 相棒の金平と、ドライブがてらに神戸方面をぶらついてまいりました。

 前回、飛び込みで行ってみたら休み、という運の無さに泣いた「口笛文庫」さんへ行ってまいりました。

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 ものすごく良い雰囲気の古本屋さんで、イケメン店主! 本も仙花紙本が大量にあり、全部をチェックすることはできませんでした。

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 国枝史郎の帯付き。この大衆文学館シリーズも、本当に良い本が多くて、死ぬまでにコンプリートしたいシリーズです。

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 そして日本推理作家協会賞受賞作シリーズ、これも最近コンプ魂に火がつき、古本屋で見つけたら買い揃えていこう、と決意したシリーズであります。

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 仙花紙本の「荒野の鬼火」気になったので買ってしまいました。再販はおそらくないであろう、との判断からです。

 そしてセンター街を歩き

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 ミステリ本を次々と確保。

 うみねこ堂さんにも行ってきました。ガードナーを格安で保護。

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 三ノ宮の新刊書店には、隣を歩く相棒の金平の新刊が山積みされておりました。

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 旅行記と思わせておいて、最後は宣伝をする、という青汁方式ではありますが(笑)友の新刊、とてもめでたい。面白いので皆さん、ぜひお買い求めください。電子書籍も同時発売です。

 

コレハラ? (ヤングキングコミックス)

コレハラ? (ヤングキングコミックス)

 

 

久山秀子「隼の勝利」を読む

 どうもこうも、会社でですね、ちょっとした人間的トラブルといいますか、私に直接関係はないのですが、聞こえる範囲で同僚同士が揉めているなぁ、と。

 仲裁に入ってもいいのですが「お前に関係ないやろ」と言われても腹立ちますし。

 放置をしておるのですが、あれですね、下手すりゃ嫁さんよりも長い時間一緒にいる連中です。みんな仲良くあってほしいものです。

 エッ? 今回は落ちも何もない??

 言い争いを間近で見ていると、知らぬ間にこちらのメンタルも疲弊するものですね。

 そんな時は妄想で逃げます飛翔します。

 世間は三連休なのに出勤になったせいもあるやもしれません。

 近いうちで楽しみなのは、我が妻との闘争2018の表紙を描いてくれた金平と、ドムドムバーガーを食べにいく予定なことくらいですわ。

 さて、今回は「隼の勝利」を読み終えた。

 前回からの批判を受けての新生「隼お秀」シリーズ。なんと、真っ当な本格ミステリであった。発表されたのが「新青年」であったせいもあるかもしれない。

 女性の絞殺事件。前の情夫、今の恋人、失われた時計、アリバイトリックなど、本格の要素を詰め込んでいる。

 作家的には「批判を受けて改心したか?」と思わせるものだ。

 しかし、これは極めて個人的趣味嗜好な話で恐縮なのだが、本格味が増すと、途端に私の中の熱が下がる、という(苦笑)

 このタイトルのブログ名を掲げておいて、本格より変格味が好きなの? という次第なのだ。

 

 1927年1月「新青年

WebCM作成

 本日はですね、結構集中してマックの前に座りまして、一日で新刊「我が妻との闘争〜昼下がりの冤罪編〜」の動画CMを作りましたよ。

 


我が妻との闘争2018 WebCM

 

 初めて使いましたよ。アップルの標準ソフト。iMovieを(笑)

 それでもあれですね。マックは本当に直感的に操作できる。説明書も何も読まずに「ここは音楽フィールドかな?」とか「これで文字が動くかな?」と大体で操作してもそこそこの形になるのですから。

 BGMがですね、太古の私のウォッチャーの方ならご存知でしょうが、これは「バカペラ」と呼ばれるもので、バカのアカペラ多重一人録音で「バカペラ」と。

 なかなかなネーミングですよね。若い頃の私は冴えていた(笑)。

 まぁ好き勝手に文章を書く、それを本に纏める、キンドルに口座設定し電子書籍で出版する。ツイッターやブログで宣伝する。コンピューターで歌を録音し加工する。それを伴奏にして動画CMを製作しアップする。

 一連の流れが一人ですからね。なんという可能性を与えてくれるのか、コンピューターは。

 いずれ近い将来、街には大型書店1店舗だけになりますよ。本はネット通販でしか買えず、週間マンガは配信に置き換わります。

 そうなった時に作り手、というのはセルフプロデュースしてネットで自著を宣伝、広告、配信していくのが当たり前になってくるでしょう。

 子供の頃、マンガを描いて、それを友達に見せていました。創作欲はそれで満足していた。それが現代、自分の作品が日本中に届き、代金まで回収できる。

 作り手にとっては夢のような時代ですね。

 新刊、まだ上位をキープしています。本当にありがとうございます。出してよかった。アマゾンレビューが増えているとスマホの画面を見た瞬間「ゾワッ」とします。作者は小躍りして喜ぶので、よかったらご感想を残してやってください。

 

我が妻との闘争2018〜昼下がりの冤罪編〜 (呉工房)
 

もしも宝くじが当たったら

 もしも宝くじが当たったら、それはもう生活基盤になんの心配もないので、色々な遊びをするのだ。

 会社へ面接に行き、履歴書にプリクラで加工され目が巨大になって美白になった写真を貼っていく。

「いい歳して君はこんな写真を貼るのかね」と面接官に怒られ

「すいません、すいません」

 と笑いを堪えながら謝るのだ。

 面接官は私が職を失い、必死になって就職活動しているのだろう、と察し

「もう一度履歴書の写真を貼りなおしてきたまえ。プリクラは論外だよ」

 と優しく諭してくれるのだ。私は涙ながらに「ありがとうございますありがとうございます」と面接官の手を取り号泣。

 次の日、今度はプリクラではなく、ちゃんとした写真を貼っているのだが、バックがひまわり畑。

 真面目な顔で正面を向いた写真なのだが、背景全部ひまわり。

 面接官は頭を抱える。しかし、本来私は仕事ができるので、それに愛想も良いので、後日背景は白の写真を持って差し替えなさい、と言われ、期間社員として合格。

 その会社に滑り込む。

 私の目的は会社に入って、そこでの生活を小説に書くことであった。残りの余生はそうやって過ごすのだ。

 姫路から遠く離れ、今は石川県、半年後は山形県、といった具合に。

 レオパレスを借り、自由な自炊生活。私が宝くじを当て、私の口座に6億入っているので、嫁さんも文句を言わない。甲斐性のある男なのだ。

 夜になるとフェイスタイムで遠く離れた嫁さんと連絡を取る。

 そして新生活だ。ベルトコンベアから缶詰が流れてくる。それを検品するのだ。手取り12万。低すぎて働きながら笑う。

 そのラインはチームになっていて、御局様が仕切っている。新入りの私にも風当たりが強い。

 嫌味を言ったり初日からわめく。最初にガツンと頭を抑え込もうという腹だ。

「見るスピードが遅い。全くなってない。姿勢もダメ」

 御局様は初日であるのにも関わらず、新入りの私をいびりまくる。隣の薄幸な35歳くらいの女性がウインクしながら「気にしないで」と口を動かす。

 私がリストラされたダメな社員だ、と御局様は思い込んでいるのだ。

 だが、私は優秀なので、職場環境をザッと見渡しただけで、問題点がすぐわかる。

「個々の見るスピードよりも、まず棚のレイアウトに問題があると思いますね。手前の机を移動させて棚と入れ替えれば、取りに行くスピードは劇的に短縮し、一日に換算すれば一時間は効率が上がると思いますよ」

 と意見し、御局様はヒステリックに叫ぶのだ。

「そんなことはわかっている。新入りがわかった風なことを言うな」

 とブチ切れるのだ。

 昼休み、先ほどの薄幸そうな35歳の熟女が、弁当を持って会社の裏庭の芝生でコンビニ弁当を食べている私の近くのベンチに座る。

「あら、呉さん、コンビニ弁当? 奥さんは作ってくださらないの?」

 ジャブを入れてきたので返す。

「独身なんですよ」

 すると向こうは少し身を乗り出す。

「私、バツイチだから弁当作ってもおかず余っちゃって、よかったら作ってあげましょうか?」

 もちろん乗る。聞いてもいないバツイチ情報に脈あり、と踏む。

 夜はレオパレスに帰り、この会社を舞台に、社名、人、全部匿名にして小説に書く。ジャンルは「就職小説」として「あそこがモデルじゃないのか?」などネットで連載形式で発表し、一部のコアなファンに受ける。

 翌日、御局様のいびりはさらにヒートアップする。ネタになるので内心笑いながら従う。

「一日掃除だけやれ」

 と言われる。もちろんそういうイビリも小説に書く。

 帰り道、薄幸の熟女と偶然か付けられたか一緒になる。一日掃除の刑に同情し、慰められる。

「頑張って、辞めないで」

 と励まされる。御局様に睨まれた中年男性は二日で辞めるそうだ。

「この近くのアパートに住んでるの。お酒あるから励ましてあげるわ」

 アパートに入るなり、愛欲に乱れまくる。そういう描写はどキツいので小説には書かない。

 そして半年、いびられ続け「辞めます」と御局様に告げる。嬉しそうな顔を必死に隠す御局様。薄幸の熟女は寂しそう。

 そして終業のベルが鳴る。ぞろぞろと工場から出る。私はフェラーリーに乗って退社する。目が飛び出て驚く御局様。

 数日後、小説は完結する。辞めた会社の社長宛に、ネット連載のアドレスを封書で送る。

 社長は一読「我が社のことだ」と察する。そして入るものをイビリ倒す御局の実態を知り、役職から下ろす。御局はなんで降格されたのかわからない。

 そして薄幸の熟女にも手紙で連載のアドレスを送る。

「いろんな県をまたいで、就職した経験を小説に書いているんだ。ごめんね」

 熟女は泣く。ハンカチを噛みながら。

 宝くじが当たったら、こんな余生を送りたいものだ。〜完〜

久山秀子「四遊亭幽朝」を読む

 本日はですね、嫁さんと長女ちゃんも結局付いてきまして、大阪でシルク・ド・ソレイユ「キュリオス」を観て参りましたよ。

 素晴らしい内容、大迫力の技の数々で、夫婦喧嘩も忘れて楽しんでまいりました。

 三人でのバスツアーでの参加です。バスは真ん中に通路、左右に座席二つ、が普通です。人気ツアーなので「相席」が宣告されておりました。

「アンタ、バスの席やけどな、相席の場所、長女ちゃんがええ、と思わへんか?」

「なんでや?」

「相席がおじさんの場合、若い長女ちゃんが隣やったら嬉しいよな」

「そうやろうな」

「でももしもやで? 若い綺麗な女性が相席としてよ? 隣がアンタやったらその若い娘、がっかりするよな?」

「どういうことや」

「だから、誰がきても問題のない長女ちゃんを相席に座らせるのがベストやと思うねん」

 私は行く前から、なぜこのように精神が摩耗せねばならぬのか。ジワリジワリとメンタルをすり減らされていく。

 いやいや、人生嫌なことばかりではない。新刊、発売から売り上げを伸ばし、本日二位を達成したではないか。パチパチパチ。

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我が妻との闘争2018〜昼下がりの冤罪編〜 (呉工房)
 

 

 こういう嫁さんの暴言が積み重なって、次の2019年版のネタになっていくのだろう。

 さて、今回は「四遊亭幽朝」を読んだ。

 短い作品、この単行本で僅か3ページ。ショートショートといってもいいだろう。

 前回の批判、反論から、この隼シリーズがどのような変貌を遂げるか、興味深く読み始めた。

 タイトルを見て「あっ、諸作家に注意されたのに、性懲りも無く今度は落語のパロディか?」とドキッとさせられた。

 これで本当に落語のパロディの探偵小説を書いたら、他人の意見など気にせず我が道を行く真からの反骨精神の人だ、と思ったが、どうやら雑誌「探偵趣味」の特集である怪談特集に沿って書かれたもののようだ。

 話の導入で寄席に入るために「隼お秀」を使っているだけで、本筋には何ら関係がない。ナビゲーター的な使い方である。

 肝心の怪談の方は、というと、語り口は上手いが、内容はストレートすぎてチト物足りなかった。構造は「のっぺらぼう」と同じ感じ。

 幽霊を見て慌ててその場を逃げ出し、遠くからその現場が火事に包まれているのを見る。心なしか炎も青く見えた。というもの。現実か、幻影か、火事は偶然か、それとも最初から全て妄想なのか。怪談なので解決はなく、余韻だけが残る。

 

 1927年1月「探偵趣味」

久山秀子「隼の公開状」を読む

 新刊を出しましてね。

我が妻との闘争2018〜昼下がりの冤罪編〜 (呉工房)
 

 そのキャンペーンとして、前作の2017年版を無料で配信中なのですが

 新作とのダウンロードの差がですね、凄くてですね(笑)アマゾンで一位ですよ。一位。

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 まぁ、私も無料配信の作品は我先に、と落としますので、新作のキャンペーンになればいいかな、と思ってはおりますが、新刊との差がですね(笑)

 しかしアマゾンで一位ですよ。この私が。無料とはいえ。素直に喜びましょうよ。

 会社ではビリケツでもネットでは一位を取れるんです。これを読んでいる人、世を儚んで自殺とかしてはいけません。自分では気付かない「可能性」というものは、誰にでもあるのです。

 こんな私でも大手のアマゾンで結果を出せるんですから。会社では秘密にしておりますので、もし知ったら「あの昼行灯の呉が?」と皆驚くでしょうね。

 町から本屋が消えていってます。あっという間に消え去ったCDショップのように、ある日「紙の本は金持ちの道楽」みたいになるかもしれません。

 なので電子書籍はこれからは有利ですよ。

 漠然と考えているのですが、中高年のマックユーザーのために「マックで作るキンドル本」の画像で説明する指南書をKindleで出したらどうかな、と思っています。

 500円くらいで。

 マックユーザーがキンドルを前にして思うのは「win機が必要なのではないのか?」とか「一太郎を買わねばいけないのだろうか?」みたいなことが頭をよぎるのですが。

 やってみた結果、マックとワードで出せます。

 ツイッターをやっていて「この人が書評を電書で出したら凄いだろうな」みたいなことはしょっちゅう思います。

 そういう人をそそのかす一冊になればな、とか。

 あと「人生の一発逆転」を考えているお父さんに向けて。「6億円当たらないかなー」みたいなことを日々考えて働いているのでしょう。宝くじを買う小遣いも貰っていないのに。

 そんな大きな一発逆転ではなく、日本人は日本語を操れるのですから、小説に限らなくても自分なりのものを出してみれば、何が当たるかわかりません。

 例えばですね、何があるでしょう。上司が女上司だとします。イビリがすごくて貴方は毎日会社に行くのも辛い。鬱になりそうな寸前です。

 それを俯瞰してみてみましょう。その女上司のいびりを克明に書く。細かく書く。部下の全員にお茶を出して、貴方にだけお茶を出さない。貴方はオフィスで半泣きになる。

 されてる貴方は屈辱的に辛いでしょうが、読む方は「面白い」と思って読むと思いますね。私も面白がって読むかな。で、貴方はいびりを創作に昇華して、金銭にも変えられる。なんならエスカレートするいびりを「おいしい」と思うようになる。

 どうでしょう。「中高年のマックユーザーがキンドル本を出して少しだけ人生を変えてみる」そんな本は需要ありますかね?

 さて、今回は「隼の公開状」を読んだ。

 といっても今回は小説ではない。弁明のようなものだ。前回の戯曲での批判を受けての返答である。

 横溝正史と親交の深い西田政治を名指しである。

 この頃は久山秀子が男性であることがまだバレていないので、女性として売られた喧嘩を買っている。

 が、内容は水谷隼から「お題」を振られたから、あのような形になった、と説明してはいるが、一貫して巫山戯た感じになっている。

 真面目な…、おそらく西田政治もそうだろうとは思うが、人間は、さぞかし腹を立てたことだろうと思う。

 個人的には振られたお題を戯曲形式で返した、というのは作り手として目先を変えていて面白い、とは思う。が、ちょっとコアなファン向けのような内容であった。

 この批判を受け、今後「隼シリーズ」がどのような化学変化を起こすのか、楽しみに見守っていきたい。

 

 1927年2月「探偵趣味」

買った本など

 本日は本屋へ行ってまいりました(またかよ)

 小沼丹「不思議なシマ氏」

不思議なシマ氏 (銀河叢書)

不思議なシマ氏 (銀河叢書)

 

  これは限定千部だそうです。ちょっとお高かったですけどね。響きがいいじゃありませんか。限定千部。日本中に千冊しかない本。そう思うと愛着がグッと増しますね。

 会社で怒られても頑張れそうです。限定千部の本が家にあるのだ、と。

 それから西條八十「人食いバラ」

  少年物の探偵小説は、これまでそれほどマークしていなかったのです。ちょっと舐めてかかっていた、といいますか。芦辺先生の監修で面白さの期待値が上がります。

 それを180度変えたのは、やはり江戸川乱歩でした。最近「怪人二十面相」を読み終えまして、これがべらぼうに面白かった。ここまで未読であった自分の尻にスパンキングであります。

 あと論創ミステリ「小酒井不木」の少年探偵、塚原俊夫君シリーズ、これが面白かったこともあります。

 そこで慌てて西條八十を注文したのですが、こんなことになるのなら、見送った盛林堂さんのミステリアス文庫「あらしの白ばと」も買っておくべきだった、と(当然完売)。

 あと定期購読の論創ミステリ叢書「川野京輔探偵小説選」

川野京輔探偵小説選I (論創ミステリ叢書 115)

川野京輔探偵小説選I (論創ミステリ叢書 115)

 

 ちょっと面白そうなタイトルが収録されています。未読作家なので期待大です。

 ジュンク堂さんで色々買いまして、レジで初めて手提げ袋に入れてもらえました。

「長く利用しているのですが、初めてです」

「こちらは一万円以上お買い上げの場合の手提げ袋になります」

 

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 嬉しくて振り回しながら帰りました。