呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

『第三の磁場』〜辻野久憲試論〜小野塚力 著

作者の小野塚力さんから、評論集 『第三の磁場』〜辻野久憲試論〜を御恵投いただき、早速読ませて頂いた。 二十八年という短い生涯の中で、早くに、梶井基次郎、堀辰雄、宇野浩二らと交わり、萩原朔太郎に師事した、今では忘れ去られた作家、辻野久憲につい…

甲賀三郎『蜘蛛』を読む

日本探偵小説全集〈1〉黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集 (創元推理文庫) 作者:黒岩 涙香,小酒井 不木,甲賀 三郎 東京創元社 Amazon 本日は甲賀三郎の短編『蜘蛛』を読んだ。なんだ、呉エイジは甲賀三郎好きを標榜しておきながら、基本のど定番である日本探偵…

水素吸引でリスク回避

先日、大枚をはたいて水素吸入機を購入した。ここ最近では一番高い買い物だった。何故、趣味の機械とはいえない器具を優先して買ったのか。それは健康を考えてのことだった。 水素吸入器、99.99パーセントの高純度ポータブルH2吸入機、SPE/PEMイオナイザー、…

銀髪伯爵にスクショを晒されて腹が立ったので言い返す記事

日頃から甲賀三郎好きを公言している。復刻本の類いや、オークションなど、色々とチェックをしているのだが、ネットサーフィンで甲賀三郎情報を検索することは、ここながらくしてこなかった。 サイトでは『甲賀三郎の世界』があり、それで満足していたことも…

ヒラヤマ探偵文庫JAPAN 湯浅篤志・編 三上於菟吉『美女舞踏』を読む

三上於菟吉『美女舞踏』を読んだ。短編が二本収録されている。表題作と『獣魂』で、どちらも極く短いもので、すぐに読めるものだ。 まず『美女舞踏』から。タイトルからして良い。美女に舞、探偵趣味濃厚なフレーズである。このような煽情的でいかがわしいワ…

祝! 我が妻との闘争〜熟年離婚の足音 篇〜発表

今年もなんとかギリギリではございましたが、我が妻との闘争、2023年版、出すことができました! このシリーズ、なんと第七段でございます。小一でスタートしたシリーズが中一にまで。月日の流れるのは早いもんです。 十年、続けられるでしょうか? 年々体力…

感情論で読み解く佐野洋『推理日記』1

佐野洋のイメージは、というと厳しくて融通の効かない学校の先生、といった印象である。 学生時代からそんなタイプの先生には反感を抱いて、反抗してきた。この推理日記を読むと、ところどころに学生時代を思い出す、なんとも言えない感情に包まれることがあ…

呉エイジと金平守人2023夏鳥取ドライブツアー

年に二回のお楽しみ。今年も盆がやって来た。2023年8月24日、晴天。相棒の金平の実家へ車を走らせる。 中学校時代から通い慣れた道だ。行き先はいつも勝手に私が決める(笑)。今回はサプライズを用意した。復元された鳥取城に案内してやろう。これを…

伊藤人誉ミステリ作品集『ガールフレンド』を読む その1

盛林堂さんから、また珍しい未読作家の短編集が出た。純文学寄りの作家から、ミステリ寄りのアプローチで組まれた作品集、ということ。これは読まねばならない。 こちらで買えますので、あるうちに入手しておいた方が良いでしょう。 解説はいつも私のハート…

甲賀三郎『支倉事件』を読む

長年積読状態であった敬愛する作家、甲賀三郎の代表長編とも言われる犯罪実話『支倉事件』をようやく読み終えた。 一つ長く放置していた宿題をやり終えた気分である。 サブテキストとして新青年趣味の甲賀三郎特集が大いに役に立った。特に井川理氏の「実話…

近松秋江『黒髪』三部作・雑誌初出版『霜凍る宵』

読後、興奮冷めやらず、の状態に未だある。この歳になると、すれっからしの頭では大抵の読書では驚くこともないが、この本、とんでもない読書体験であった。 純文学ファン、私小説ファン、そして探偵小説ファンにもお勧めする一冊である。あるうちに入手して…

杉山淳『怪奇探偵小説家 西村賢太』を読む

初版は瞬殺となり、オークションサイトで数万円まで跳ね上がった個人誌を、どうにかこうにか入手することができた。 芥川賞作家である私小説作家、西村賢太を怪奇探偵小説(変格探偵小説を含む)からの観点で捉える、という試みで、あっという間に本書が売り…

池田得太郎異端小説集を読む

探偵小説ではないのだが、変格探偵小説好きの嗅覚がムズムズと動き、ネットでポチってしまった同人誌である。結果は正解であった。 booth.pm 三島由紀夫に絶賛され、倉阪鬼一郎には『戦慄のカルト作家』と紹介され、平野謙には難色を示され(笑)、まぁこれ…

浜尾四郎『死者の権利』を読む

2023年になりました。今年一発目の本ブログ、更新であります。2022年は娘の結婚、長男ちゃんが彼女と同棲を始め引っ越しなど、プライベートで色々と変化がありまして、このブログも開店休業中だったのですが、今年もマイペースでポツポツと活動を続…

コミカライズ版『新・我が妻との闘争』第二巻発売記念

相棒金平の手によるコミカライズ版『新・我が妻との闘争』第二巻の作業が大詰めを迎えている。コミックスの時に選考から漏れた初期エピソード、その復活である。 単行本には『クレーム』『娘よ』『ドキドキプレゼンテーション』の三本が掲載される。販促企画…

甲賀三郎全集復刻版を落札す

ババーン。今回はタイトル通りの内容だけである。 苦節数年、甲賀三郎全集復刻版を落札してしまったのである。後先考えずに落札ボタンを押してしまったので、現在財布の中は爆死、オケラピーである。 ここまで旧版を集めていたのだが、これがまたゲロ高い。…

倉野憲比古『弔い月の下にて』を読む

弔い月の下にて 心理探偵・夷戸シリーズ 作者:倉野憲比古 行舟文化 Amazon 短編集が出る、ということなので、楽しみに取っておいた倉野憲比古『弔い月の下にて』を読んだ。 個人的に楽しみにしていた長編探偵小説である。 ここで表明しておくと、これはもう…

倉野憲比古『弔い月の下にて』を読む

弔い月の下にて 心理探偵・夷戸シリーズ 作者:倉野憲比古 行舟文化 Amazon 短編集が出る、ということなので、楽しみに取っておいた倉野憲比古『弔い月の下にて』を読んだ。 個人的に楽しみにしていた長編探偵小説である。 ここで表明しておくと、これはもう…

開化の殺人-大正文豪ミステリ事始 中公文庫を読む

開化の殺人-大正文豪ミステリ事始 (中公文庫 ち 8-11) 中央公論新社 Amazon 最近の中公文庫は攻めている。ミステリアンソロジーでも、ちょっと違った角度からの、探偵小説ファンの心を掴むような、そんなアンソロジーを出してくれている。 このアンソロジー…

古畑任三郎DVDコレクション2『殺しのファックス』

古畑任三郎DVDコレクション 2号 (1st season 第3話 笑える死体・第4話 殺しのファックス) [分冊百科] (DVD付) デアゴスティーニ・ジャパン Amazon 刊行された順に試聴を続けている古畑任三郎のデアゴスシリーズ。毎回、私の天才的洞察が鋭すぎるので(自分で…

祝! 甲賀三郎『劉夫人の腕環』刊行

劉夫人の腕環 作者:甲賀三郎 大陸書館 Amazon 大陸書館さんから甲賀三郎の短編集が刊行された。復刻ではなく新規に編まれた短編集である。検索すると長隆舎書店「劉夫人の腕環」(1942)という単行本がヒットする。収録作品は違うようだ。当然持ってはいない(…

古畑任三郎DVDコレクション2『笑える死体』

古畑任三郎DVDコレクション 2号 (1st season 第3話 笑える死体・第4話 殺しのファックス) [分冊百科] (DVD付) デアゴスティーニ・ジャパン Amazon デアゴスのマガジンとDVDがセットになったシリーズの第二弾。 エピソード3『笑える死体』を観た。今回は犯人…

古畑任三郎DVDコレクション1『動く死体』

古畑任三郎DVDコレクション 創刊号 (1st season 第1話 死者からの伝言・第2話 動く死体) [分冊百科] (DVD付) デアゴスティーニ・ジャパン Amazon 定期購読した本シリーズ、隔週刊行ということで油断していたら、もう次号がポストに入っていた。 「こりゃピッ…

古畑任三郎DVDコレクション1『死者からの伝言』

デアゴスティーニの古畑任三郎DVDコレクションを定期購読してしまったぁぁぁ! 古畑任三郎DVDコレクション 創刊号 (1st season 第1話 死者からの伝言・第2話 動く死体) [分冊百科] (DVD付) デアゴスティーニ・ジャパン Amazon コロンボの形式、先に犯人が分…

謹賀新年

あけましておめでとうございます! 2022年無事に迎えることができました。 昨年末はギリギリでしたが、なんとか毎年恒例になっている我が妻との闘争のシリーズを、途切れさせることなく出すことが出来て、ホッとしております。 今のところ、前作『ワガツ…

神風が吹いた

おありがとうございます。全国区の雑誌に連載していたお陰で、マックを買い替えの際、私の境遇を憐れんで、読者の方がお古を譲ってくださることがある。 今までに何度か経験している。それを私は『神風』と呼んでいるのだが、本日また吹きましたよ。その神風…

アマゾンの甲賀三郎の本

アマゾンで【甲賀三郎】と検索してみたら、見慣れない画像がヒットした。 日本探偵小説全集第4篇: 甲賀三郎集 (温古堂文庫) 作者:甲賀三郎 Amazon どこのどなたかは知らないが、甲賀三郎の復刻はありがたい。読み放題対応も助かる。販売価格は500円であった…

佐々木俊介『魔術師・模像殺人事件』を読む。

佐々木俊介『魔術師・模像殺人事件』収録の『魔術師』を読んだ。 魔術師・模像殺人事件 作者:佐々木 俊介 幻冬舎 Amazon ミステリ、というよりも探偵小説、という呼び方が似合う作品である。探偵小説好きにはたまらない世界観と空気だろう。 まず島、が舞台…

最新刊 呉エイジ『ワガツマレザレクションズ』発表!

ワガツマレザレクションズ: 呉家は一体どのような不運に見舞われたのか (呉工房) 作者:呉エイジ Amazon 完成しました。前々から呟いておりました、呉エイジの私小説、で予告しておいたドキュメント。最後にタイトルが決まりました。それまでは『ある不幸』と…

康綺堂『康綺堂の推察ノートvol.1』を読む

康綺堂さんの個人誌が届いた。横溝正史と夢野久作関連の考察本である。 まず出版されたことに敬意を表したい。素晴らしい。やはり自分のラブは形にするべきである。 そして康綺堂さんは仕事の傍の出版である。これも素晴らしい。私も力を頂いた。私も作ろう…