夜中におしっこへ行けなくなったものだった。子供の頃の心霊特集や、友人間で回ってきた心霊写真の本などのことだ。
もうトラウマのようなものだが、お昼のワイドショーでも夏には心霊写真特集などをバンバン流していた。
もう見るのが怖くって怖くって。
司会者だって小さい頃見ていたのに、今でも名前を忘れてませんよ。確か新倉イワオさんです。
もう名前からして怖いじゃないですか。イワオですよ? 岩陰からうらめしやスタイルでお岩さんが覗いてそうな名前じゃないですか。
あぁ、おっかない。
そしてクラスの誰か一人は持っていた、恐怖の心霊写真集。
これが容赦なく怖かった。紙焼きの写真時代のことですよ。布団から出られませんでしたね、怖すぎて。
でもね、これね、ぶっちゃけ当時はメディアが「夏だから涼しくなるような番組やりましょうかね」ってことですよね?
でも「これはエンターテインメントの作り話です」てなテロップは一切流れないんですもの。ちょっと罪作りですよね。
真剣な顔して「写真はお祓いしてもらいました」的な説明はちゃんとつけてるのにですよ?
心霊写真だって、当時の職人さんが、紙焼き写真を切り貼りしたり、二重露光みたいなことしたりして、アイデアを形にしてたんでしょ?
フォトショップで簡単に作れるようになってからは(生まれて初めてフォトレタッチを自分で行った時、こりゃ革命だ、と思ったもんですよ)心霊写真の社会的価値もトーンダウンした感はありますよね。
でもね、大半が作り物だとしてもですよ、専門家が見て「作為の跡が見られない」みたいなコメントを寄せてる写真とかあるじゃないですか。
そういうの、一番怖いですよねぇ。
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さて、今宵は「少年探偵 呉田博士と与一」を読み終えた。
「しまった!」私は読み終えて、思わず大きな声を出してしまった。
油断した。完全に油断してしまった。ここまであからさまに伏線が張ってあったのに、児童向け、というベールに覆われて、完全に見過ごして読み進めてしまった。
父と子の微笑ましい推理談義。これは平林作品でも上位に食い込む面白さだった。
世間を騒がせている誘拐事件、その真相を父と子が家であれやこれやと話し合うのだが、容疑者とされている呉田博士。与一少年は安楽椅子探偵の如く、証言等を吟味し、矛盾点を見つけ指摘する。
これ、注意深く読んでたら、私にもわかったのに! あぁ悔しい。与一くんに負けた。
思わず声が出る瞬間。これだから探偵小説はやめられないのだ。
ちなみにこの作品も青空文庫にて無料で読めます。貴方も推理されてみては?
1928年(昭和3年)「日本少年」