呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

松本泰「死が死を呼ぶ」を読む

 ジムに通いだしてから、少しだけオシャレになった。

 やはり他の会員の目が少しは気になるし、同年代の男性でも、ヘアトニックでガチガチに決めたヘアースタイルとか、チョイ悪オヤジの不良ファッションとか、これらは女性の目を気にしているからなのだろうが、みすぼらしい同年代は、まぁ居ない。

 といっても服装にお金をかけるというわけではなく、今までやってこなかったこと、ジムでスポーツウェアを着た時に目につく「ムダ毛」を処理するようになった。

 他の会員が、手も足も「女性ホルモンでも飲み続けているのか?」と思えるくらいに無毛ツルッツル肌なのだ。

 そこで私は少ない小遣いの中から、これまでの「旧呉エイジ」ならば絶対に買わないようなものを買い揃え、休日は地味にケアをし始めたのであった。

 

 

 このような電動カッターで、ムダ毛を処理する。以前、カミソリでシェービングクリームを腕や足に塗りたくり、風呂場で処理したところ、嫁さんがエクソシストに取り憑かれたような顔をしながら

おんどれ、ここに毛を流したら、詰まって逆流するやろうが!

 と烈火の如く怒り狂ったので、今はこの電動シェーバーを持ち、裏庭で処理をしている。

 小石の上にハラハラと落ちていく私のムダ毛たち。これで二度と水道管が詰まって嫁さんに怒られることもない。

 刈り取られたフワフワのムダ毛たちは、タンポポの綿毛と一緒に、初夏の風がどこか遠くへと運んでいってくれることであろう(なんでここだけ少し背伸びしたような文学表現にしとるねん!)。

 そして第二段階、これは結構奮発した。パナソニックの光エステ、である。

 

 

 これは肌に密着させるとカメラのストロボのような光が発光して、毛根を燃やす機械である。少しチクッとするし熱い。

 何故ここに、私の使用器具をアマゾンリンクで紹介するか、というと、同じ悩みで気になった方が、このリンクから買い物を成立させると、私の懐にチャリンチャリーンと数十円が入ってくるからである(全て本代になるのだが)。

 一回の使用で毛根の根絶は無理だが、伸びては燃やす、を繰り返していたら、毛の密度は確実に減った。いつかはツルツルの肌になりそうである。

 エステに行くお金などないので、長期戦なのだ。

 さて、今回は「死が死を呼ぶ」を読み終えた。

 おっ、これは混じりっけなしの本格短編である。平林初之輔が上機嫌で「健全派」に分類する短編。甲賀三郎も書きそうな内容である。

 ホテルに逗留している裕福な夫妻。妻は三十を越えてはいるが見た目は若々しい。指には大きなダイヤが光っている。

 ホテルの宿泊客は美しい妻に妻帯者であろうが惹かれていく。自由奔放な妻。

 その妻が殺害された。死体からは指輪が消え失せている。

 愛憎まみれた容疑者の中から浮かび上がる意外な真犯人とは。

 この作品でも作中人物に「夫婦お互い自由にしているのです」と言わせている。英国暮らしで、松本泰は「相手を束縛しない」ように感化されたのだろうか。

 甲賀三郎作品では「妻の不貞を疑う男」が時折登場するが、松本泰はそこらへんが物凄くドライ・クール。

 実生活もそうだったのでは? と勘ぐってしまう。因みに妻は探偵小説家の松本恵子である。

 

1927年(昭和2年)4月「文芸倶楽部」 

松本泰探偵小説選〈2〉 (論創ミステリ叢書)

松本泰探偵小説選〈2〉 (論創ミステリ叢書)