おボーナス、嫁さんと白熱の攻防の末、希望額五万円から切り出し、最終二万円で妥結した。
危なかった。
「今年は無しでええか?」
と真顔でのたまうのである。ええわけないやろが。
サラリーマンはボーナスの小遣いだけが楽しみなのだ。それを平気でもぎ取ろうとする。正気か? と言う寸前であった。
三万スタートなら、一万妥結の可能性もあったわけだ。クワバラクワバラ。
色々と欲しいものはある。主に本だが。
とりあえず途中まで買い揃えている橘外男ワンダーランドを集めたい。
橘外男は怖いよ。特に「逗子物語」と「布団」。前者はよく分からないものに憑かれ、それを明確に説明しないスタイルが新鮮で、不気味さの演出が上手い。
後者は「そんな高価な布団が格安で手に入るわけなかろう」の「志村後ろ」パターン。布団が来てから不気味なことが起こる。これも「なんで? 俺が何か悪いことした?」みたいな説明のない怖さ。
あと、家にはマックしかないので、コンパクトなウインドウズマシンが一台欲しい。使用目的はエミュだ。ゲーム本体を処分して、ソフトだけ大量にあるので、これらをウインドウズエミュで走らせたい。そのあたりはウインドウズに軍配が上がるなぁ。
あとは小倉優香ちゃんの写真集かな。おボーナスの小遣い出たし、買おうかな、買っちゃおうかな。
※
さて、今回は「黒い靴」を読み終えた。
「うまい!」と声が出た。短編で良くあるパターンかもしれないが、好みである。タイトルもふるってる。
これは解説にもある通り、探偵小説ではなく普通小説だ。
黒い靴、と言うのは女性が飼っている犬の足の先が「黒い」ため、靴のように見えるところから採られている。
男女の出会い、そして恋愛、重要な小道具として「犬」を使い、それがラストを引き締める効果をあげている。無駄のない小道具の配置。
自分の創作にも取り込みたくなるような使い方だった。
普通小説なので、感想が抽象的すぎました。ご容赦を。
1929年(昭和4年)3月「女人芸術」