呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

松本恵子「盗賊の後嗣」を読む

  暑い、連日暑い。帰ってきても暑い。なぜなら…。

 我がマイホームには一階に台所とリビングと和室、二階に子供部屋三つに私の部屋の軽四部屋あるのだが

 私の部屋にだけクーラーが無いのだ!

 生暖かいフローリング、モワーッとした室温。

「アンタの部屋にクーラー付けたら、出てこんやろ」

 とは嫁の弁である。確かに大正解ではあるのだが。

 昼間の猛暑日のおかげで夜になっても熱気がこもったままだ。

 そんな過酷な状況の中で、私は汗を流しながら暑さに耐えてブログを更新しているのだ。ハムスター辺りなら痙攣して死んでいる。

 会社でもストレス、家でもストレスなので、帰宅前に本屋へ寄って帰りましたよ。

誰も僕を裁けない (講談社文庫)

誰も僕を裁けない (講談社文庫)

 

 

読書の極意と掟 (講談社文庫)

読書の極意と掟 (講談社文庫)

 

  二冊買って帰りました。早坂吝先生はデビュー作「◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件」がブッ飛んだ傑作だったので、新刊はチェックしております。

  このデビュー作品は「ミステリを読む動機で『あっ』と言いたいから」という人ならば満足の一冊。こういうアプローチ好きですし、決して一発ネタな作品ではなく、細部まで作り込まれており「ド本格」です。

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

 

  筒井先生は大昔に「みだれ撃ち涜書ノート」という良著がありまして、紹介が上手いから読みたくなるのですなぁ。

みだれ撃ち涜書ノート (1979年)

みだれ撃ち涜書ノート (1979年)

 

  身体から熱が抜けないので水シャワーでも浴びてまいります。クーラー欲しひ。

 さて、今回は「盗賊の後嗣」 を読んだ。

 これはなんと分類したものだろう。盗賊の話に絡めた人情譚、になるか。

 若い盗賊が質屋に時計を持ち込む。質屋は時計を一目見て「盗品」だと見抜く。その根拠にはシャーロックホームズばりの説明が加えられる。

 翻訳、とはいえ、松本恵子のテイストもかなり入っているのではないだろうか。

 物語は、その時計の数奇な運命と、若い盗賊、その親の大盗賊、質屋、この質屋はかつて父親とタッグを組んでいた。

 質屋は若い盗賊の将来を考え、手を差し伸べる。

 最後、親の縁を切り家を出た若い盗賊。大盗賊は質屋に愚痴る。倅が真人間になる愚かさのことを。

「逆だろ」

 と読みながら突っ込みたくなるユーモア作品。

 

1923年(大正12年)7月「秘密探偵雑誌」

松本恵子探偵小説選 (論創ミステリ叢書)

松本恵子探偵小説選 (論創ミステリ叢書)