呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

小酒井不木「髭の謎」を読む

 嫁さんから「猛暑の中毎日元気に出勤してお疲れさん」と臨時小遣いが一万円も出た!

 あのケチな嫁さんから。それだけの異常気象だということだ。部屋の中にいても暑い。

 その臨時収入でこれを買ったら、天罰が下るであろうか…。因みにこの写真集、速攻で増刷だそうである。やはり私が見込んだ女に狂いはない。

 

小倉優香ファースト写真集 ぐらでーしょん

小倉優香ファースト写真集 ぐらでーしょん

 

 

  こういう本は臨時収入で買うべきですよね。しかし元手は嫁さんからの珍しい臨時小遣いである。さすがに神も怒るか。道を歩いていたら落雷の直撃を受けて死ぬパターンか。そして部屋からこの写真集が出てきて、嫁さんが私の遺体に向かって「ケッ」と毒付く流れか。

 どうしたら良いのですか、迷える子羊に光明を! ジーザス。

 さて、今回は「髭の謎」を読み終えた。

 今回は塚原俊夫くんの事務所に若いお姉さんが殺人事件の依頼をしに来る、という殺人事件を解決する本格物である。

 警察を差し置いて、塚原俊夫くんに依頼しに来る、警察官も塚原俊夫くんに協力的、そういうのどかな世界観が心地よい。小説なのだ、目くじらを立てることもないではないか。

 そして私は読了後、心底感心した。塚原俊夫くんの推理の道筋が、理路整然としていたからである。

 死亡日数の偽造を暴いた根拠、というのが、虫眼鏡で観察した、死体安置所の髭の長さ。髭は一日に0.5ミリメートル伸びる。三日前に髭を剃ったのなら1.5ミリでなければならない。

 という推論だ。発表年を見て欲しい。大正時代の作である。

 DNA鑑定はおろか、指紋技術もまだ未熟な時代であったことだろう。

 刑事も当時の捜査では独断で怪しいと思った人物を拘束し、冤罪のまま絞首台に登った人も多くいたことだろう。

 仮に鑑識から死体の髭の長さの報告を刑事にフィードバックしていたとしても、刑事が予断で捜査していれば、そのようなデータは全く無意味なのだ。

 そこで観察と推理が直結した塚原俊夫探偵の個性が活きる。

 この物語を読んで憧れ、後に警察に入った子供達が、昔ながらの捜査に疑問を持ち、色々なことを気付かせる、この作品はそんな素晴らしいシリーズだったのではないだろうか。

 

 1925年(大正14年)6月「子供の科学

小酒井不木探偵小説選 (論創ミステリ叢書)

小酒井不木探偵小説選 (論創ミステリ叢書)