呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

小酒井不木「白痴の知恵」を読む

 ツイッターでも呟いたが、事務所の皆が疲れているのである。疲れていると、くだらないことで延々と笑ってしまう。深夜に大爆笑したネタを思いついても、翌朝冷静になって考えれば「そうでもなかった」効果のような。

 時代劇の話から水戸黄門の話題になり、そのうちに誰かがモノマネで

この黄門が目に入らぬかっ!

 いやいや、そもそもそんなセリフ無いし、それだと肛門みたいやんっ!

 水戸黄門が助さん角さんに抱きかかえられ、尻をまくって悪代官の目の前に肛門を突き出す。木の上で微笑む弥七。どんな時代劇だ!

 事務所全員が窒息級の爆笑。皆疲れているのだ。

 ようやく誰かが「この紋所でしょ」と訂正する。肩で息をしながら。

 そこまで疲れ果てて、家に帰ってブログを書こう、と思ったら、食後完全に寝落ちしていた!

 歩行機に乗ったまま、口の周りがスパゲティでぐちゃぐちゃの真っ赤っかになったまま寝る赤ん坊の如く、食べた直後に猛烈な睡魔が襲ってきた。

 尿意で目が覚めて、ただいま深夜の二時。慌てて愛機を起動した次第。

 天気予報では変なカーブを描いた軌道で台風が接近中である。今年は猛暑でその上豪雨などの災害のニュースも多く目にした。

 気をつけて参りましょう。

 さて、今回は「白痴の知恵」を読み終えた。

 この作品はタイトルからしてアレ、だろう(笑)今日の人権意識に照らして〜から始まることでお馴染みのアレだ。

 普通にサラリ、と書いているから驚く。ましてや小酒井不木は科学者である。その小酒井不木でも白痴に対する態度が「三歳児並みの知能」などと記述しているのだから、当時のそういう人々に対しての世間の温度というものが窺い知れよう。

 白痴、土人など「そういうもの、我々より低いもの」として世間一般では扱われていたのだろう。

 今回もすこぶる面白い話、あらすじなど。白痴の息子と二人で暮らしていた母親が深夜、何者かに絞殺された。

 証拠は現場に残された手ぬぐいのみ。容疑者もいるにはいるが、確たる証拠がない。

 その事件に我らが塚原俊夫くんが乗り出す。

 今回も明朗・痛快に大人に指示し、容疑者を一度に集め、役者を雇わせ、殺人現場で殺害シーンを演じさせる見せ所をわかった作り。

 刑事コロンボを思わせる犯人の良心を突いた引っ掛け自白をかますのだが、小酒井先生、タイトルと違って、この指摘方法では「白痴の本能」になりますやん!

 

 1926年(大正15年)1月「子供の科学

小酒井不木探偵小説選 (論創ミステリ叢書)

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