呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

漫画のことなど

 今は姫路住まいだが、子供の頃は親父の仕事の都合で名古屋に住んでいた。

 5階建のマンションで家族四人暮らし。小学2年まで名古屋にいた。そのマンションのお隣さんが、お金持ちの家で、しょっちゅう遊びにお邪魔していた。

 お姉さんは綺麗で音楽好き、LPレコードをたくさん持っていた。お兄さんは漫画好きで、部屋の本棚には大量の漫画の単行本が並べられていた。

 小学校2年で、その時6年だったお兄さんと、部屋で漫画を読みふけった。

 まずはブラックジャック。これは子供心にも「面白い」と思った。凄腕の外科医。手術シーンはグロく、怖くて眠れなくなることもあった。

 手術になるとナイロンの風船を膨らませて、その中に入って施術するのが印象的だった。

 どれも面白かったが、記憶に焼き付いているのが、ブラックジャックが法外な治療費を息子にふっかける。母親の手術だったと思う。物語の終盤だ。一瞬ひるんだあと、息子は「どんなことをしてでも払いますとも」と言い切る。

 ブラックジャックは「その言葉が聞きたかった」と言いながら手術を始める。

 その次に「マカロニほうれん荘」を読んだ。これは破壊的なギャグが最高だった。ファンキーな教師「クマ」いつも「ノォーッ」と叫ぶ。

 土方歳三にきんどーさんと沖田くん。後年知ることになるが、新撰組ではないか。

 そして女子が可愛かった。「いやん、いやですわん」とか言いながら男に擦り寄る。ドキドキしたものだった。

 そして「ガキデカ」を読む。これも貪るように読んだ。「マカロニ」とは違う質のギャグで、飼い犬「栃の嵐」が裕福になったり、こまわりが動物などにメタモルフォーゼしたり、漫画表現が多彩。そしてギャグも不条理系なものが多かった。

 この三本が幼少期に叩き込まれた漫画たちである。

 そこから先はジャンプ読者となり、車田正美リングにかけろ江口寿史「エイジ」ジャンプとは別枠だが、藤子不二雄Aの「まんが道」には大きな影響を受けた。

 青年期には大友克洋を知り「童夢」「アキラ」そこからニューウェーブ作品を読み出し藤原カムイ「チョコレートパニック」士郎正宗アップルシード御茶漬海苔スプラッター漫画、蛭子先生の独特な作品群に夢中になった。

 私を形作る「漫画」はこのような感じだ。そこから先は江戸川乱歩横溝正史を始めとする国内ミステリ小説作品へと移行することになる。

 

マカロニほうれん荘 (1) (秋田文庫)

マカロニほうれん荘 (1) (秋田文庫)