相棒金平の新刊「コレハラ?」を読んだ。
私はギャグ漫画に厳格である。笑いの構造を分析して吸収したい一心から、ギャグ漫画であるにも関わらず、最後まで眉間にシワを寄せたまま読了、みたいなこともしょっちゅうある。
楽しんで読んではいるが、笑っていないことに気付くのである。
なので、私がギャグ漫画を読んで声を出して笑うのは、無心になった時と、作家に笑いのツボを突かれた時、である。
この「コレハラ?」はどうか。
身内の贔屓目を抜きにして、プッと吹いたぞ、金平、このシーンで。
ちょっと大友入ってないか?(笑)
あと、スメルハラスメントのこのシーン。
これ鉄男入ってないか?(笑)
まぁ、声を出して笑ってしまったので、この勝負、お前の勝ちだ。
担当さんの意見が入ったかどうかは聞いていないが、後半、今までにない金平の境地が垣間見える。
神様の使いの出現とか、百合っぽい自問自答とか、リドルストーリーで一旦ぶち切ってからの、哲学者の一言とか、それにビジュアルが伴って、作者の高揚感が伝わってくる。
小説を読んでいないのに、自己培養でマイ哲学を作り上げおった。
キャリアの中でも傑作の部類だろう。
多くの人の目に触れて欲しい一冊である。
※
さて、今回は「刑事ふんづかまる」を読み終えた。
短いものだが、良かった。連続で読み進めているが、その中でも気が利いていて面白い。
高山刑事に付け回される隼お秀。警察がスリの一斉検挙で、部下や仲間たちが検挙されてはじめていた。
現行犯逮捕でもないのに、どうして検挙できるのか? どうやら警察は証拠を握っているらしいが、それは一体何なのか?
隼を逮捕しようと追い続ける高山刑事、お秀は映画館で高山刑事の財布を盗む。ここで計略を仕掛ける。
映画館を出て高山刑事が「お茶を奢れ」と声をかける。ここが向こうの作戦なのだ。
スリの現行犯ではなく、偽造紙幣の不正使用の現行犯で仲間は検挙されていったのだ。
それを見抜いた隼お秀は、高山刑事に偽札を忍び込ませ、会計時に大恥をかかせる。隼お秀の痛快な啖呵切りもキャラクターにマッチしており、悪人の勝利なのに嫌味がない。
1927年7月「探偵趣味」