本日、会社が早めに終わり、ジムの用意をカバンに詰めていたのに、バックシートに眠らせたままの家路。
行こうか、行くまいか、悩みに悩んで、結局アクセルを踏み込んでジムを通り過ぎてしまった。
『まゆゆ』似の彼女に勇気を振り絞って挨拶をしたにも関わらず、絶句され視線は宙を舞い、ほとんど会話にならなかったからである。
頭の中でシュミレートしてみる。ジムに入る、目の前にベンチが数台置いてあり、簡易休憩所になっている。
そこに腰掛けて、Apple WatchとiPhoneとBluetoothヘッドフォンのセッティングをするのが常なのだ。
まゆゆ似の彼女は噂では40歳、見た目、どう見たって30歳にしか見えないのだが。
そのまゆゆ似の彼女がジムで時折話す、おそらく同年代であろうオバハン連中。何で可愛い人の取り巻きは、怪獣みたいな人が多いのであろうか。
「ちょっとあなた、いい?」
ピグモンが私に話しかけてくる。
オバハン連中の向こうには、まゆゆ似の彼女が泣きそうな顔をして俯いて座っている。
「あなた、彼女に話しかけたみたいね」
ペスターも割り込んできた。
「一体どういうつもりなのよ、あなたジムにナンパ目的で来てるの?」
ザラブ星人は怒りもあらわである。
「通路で鉢合わせしたから挨拶したまでですよ。っていうか私の挨拶にあんた達関係ないでしょ?」
私も必死になって応戦する。
「怖がって傷ついてるのよ、彼女。どうしてくれるのよ。ストーカーみたいなオッさんにまとわりつかれたら、私たちだって泣くわよ」
ガマクジラが平然と言う。
「あなたが怖くてジム辞める、まで言ったのよ彼女」
ピグモンの唇は厚い。
「あの子に謝りなさいよ!」
ペスターは小顔だが、作りが残念。
「なんで謝らなくちゃいけないんだ。綺麗な女性と鉢合わせしたら、挨拶するのが礼儀だろ?」
「きしょい、このオッサン超きしょい」
ガマクジラの舌が飛び出す。
「オッサン、あの子と対等に話できるつもりに思ってたみたい。あの子超モテるのよ。アンタなんかお呼びじゃないわ」
ザラブ星人の目は小さい。
と、こんな風に集中砲火を浴びたら、二度と立ち直れないから、自然とジムに向かう足が遠のいてしまうのだ。
もう何日か、事態が沈静化するのを待とう。オバハン連中なら囲まれても怖くはないが、もし彼女の親衛隊に絡まれたりしたら、格好が悪い。
※
津山を抜け、岡山のパラダイス、万歩書店本店に夕方無事に到着した私と相棒の金平なのであった(ここまで書いて睡魔が)(笑)。
〜続く〜