呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

2019・9 だめなやつら福山旅行4

 家庭も仕事も忘れ、好きな音楽を鳴らし、車中で創作談義、これからやりたいことを具体的に話す至福。

 そういった私のささやかな幸せを、繊細さのかけらも無い嫁さんのラインメッセージはぶち壊してくれる。

「アンタ、モテへんアンタがまさかとは思うけどな、この旅行、変な女と一泊旅行みたいなことと違うやろな。証拠を送ってきて。今すぐ送ってきて。わかったか」

 私は渋々ケータイを取り出すと、休憩している隣人にカメラを向ける。

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 そうして送信ボタンを押した。既読になったまましばらく待つ。せっかく送ったのに、返信もリアクションも何も無い。

ガン無視かい!

 まぁ嫁さんに変な胸騒ぎが起こるのも理解できるのだ。退会してしまって二度と会う術はなくなってしまったが、ジムで出会った『まゆゆ似』の彼女、結果論ではあるが、きっとお互い好意を持っていたことは妄想では無いはずだ。

 私が二度目の挨拶を出来なかったから、愛想を尽かされてしまっただけのことで。

 煩悩だ。煩悩の塊だ。私の脳みそは。

 気分を変えるために夜の街へ相棒と繰り出す。

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 駅周辺では福山城の遺構、舟入がきちんと整備されていて好感が持てた。

 

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 夜風が気持ちいい。

「なぁ、金平、レストランじゃなく、酒でも飲むか」

「おっ、ええな。でもお前、下戸なのに大丈夫か?」

「嫁さんに晩酌で鍛えられて、少しだけ強くなったんやで」

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 キンキンハイボールが格安だったので、ここに決定。そうして姫路から福山へ、車での長旅、ようやく乾杯。

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 酒を飲みながらここに来る前に寄ったアニメイトで、売れ線の漫画や小説がどんな感じなのか見てきた二人の反省会。

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「キラキラしてたなぁ」

「ワシらとは違うなぁ」

「何冊か買って研究しよか」

「取り込めるわけないやろ(笑)」

 ここで私は、この前行った大阪での文学フリマで感じたことを相棒に熱く語った。

「こないだ文学フリマ行ったんよ」

ツイッターで言うてたな」

「そこでな、本もそうやけど、売ってる人も観察してたんや」

「ほぅほぅ」

「で、座って下向いて本読んでる人おってな。ムッスーとした難しい顔で、文学少女で対話は苦手なんかもしれんけど、お客さんおらへんかったわ」

「ワシはわからんでもないけどな」

「で、おっさんのブースで見てたら気さくに話しかけてくれてな。ならこっちも『笑える作品あります?』って聞いたら『ウチらは笑かせた後、泣かせます』言うてドヤ顔できてな(笑)『じゃあ買います』って感じでな。作品もそうやけど『人間力』で売ってるなぁ、と」

「なんやそれ(笑)」

「だからワシも人間力磨いて、ブログとかツイッターで発信して、人柄でも買ってもらおう、と」

「なんかちょっと違う気もするけど(笑)まぁ文章力磨きながら人間力も磨けや」

 

 

 私はハイボール二杯で撃沈、この後何を話したのか、よく覚えていない。

「次の旅行は大浴場付きにしよな」

「そうやな、もう少し予算出してな、やっぱ旅行来たら大きな風呂やな。松江はその点良かった。宍道湖見ながらな。ユニットバスは窮屈やな」

 私が風呂を済ませて出てくると、相棒はお約束のゆるキャラを書き残していた。

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 さぁ、明日は待望の福山城攻めである。


福山旅行2

 

〜続きます〜