現在、毎日コツコツと新作長編を絶賛執筆中なのだが、その休憩の合間、読んでいたのは折羽ル子さんの『DX円盤対猫』だった。なんと大盤振る舞いの無料ダウンロード期間中だったようで、迷わずに速攻Kindle端末へダウンロード。
タイトル通りの痛快SF作品で、主人公(猫)の暮らす家に、異次元空間から敵艦隊が出現、しかし艦隊とは言っても時空の歪みか、スケールダウンして猫の暮らす家の風呂場に収まるサイズに。
というのがザックリとした話の流れ。
私がミステリ育ちの人間なので、適切なSF作品批評言語を持ち合わせていないのが、とてももどかしい所ではあるが、特筆すべきはその文体。
講談調のハイパー饒舌体とでも言おうか、終始、ふざけた感じで書いておきながら、時折見せる強烈な印象を残す一節、ライン。警句のような一発をお見舞いするのが持ち味と見た。
〜猫を真似て隠密行動をする者の愛称であるにゃんじゃあがなまりなまってにんじゃあそしてニンジャである〜
こういうゴキゲンな遊び心溢れるラップのような文章で酔ってみたい方に、是非オススメの一本である。
そうして、ここからは余談だが、個人的に折羽ル子さんには、正直刺激を受けた。ツイッターで『新作、何文字書けた』みたいな報告ツイートに感化されたのだ。猛烈にカッコイイ。
おかげで新年、我が妻との闘争2020で、やりきった症候群に飲まれ、振り返ればスランプ気味であった私にとって、強烈なカンフル剤となった。
『ネットの向こうで今日も猛烈に書いている人がいる……』
そこから私も『書かねば、いや、書いて書いて書きまくるのだ』という意識にまで高めてもらったのだ。
そしてこれも余談だが、作者さんは、小説の他にもグラフィック表現が素晴らしく、自作の数々の表紙や『このセルパブがすごい』のキャラデザインまでされているようで『なんで二つも才能あるの?』という感じだ。
次の超弩級エンタメ長編小説の一番の恩人は、折羽ル子さんかもしれない。
この本も無料でありがとうございました。