呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

舞城王太郎『熊の場所』を読む

 昨夜、仕事帰りにブックオフへ寄り道して、というのも、これを書いている現時点、世間ではコロナウイルスで大騒ぎであり、外出はなるべく避けましょう、といった自粛ムードに包まれ、会社に対しても感染リスクを避けるため、大好きなスポーツジムをお休みしているのでありますよ。

 春になればウイルス、消えてくれるでしょうか。学校は異例の長期休みに入りました。こんなこと、今までになかったことです。

 ここは日記の役割も果たしておりますので、晩年、このブログを読み返し『あぁ、あの時は大変だったな』と、よれよれの老人となった私は机から立ち上がる時、ワザとふらついて、デイサービスのお姉さんの胸へ寄りかかるようにして立ち上がるのです。それだけが唯一の楽しみ、って誰が唯一じゃ。

 老後は積ん読本をせっせと消化する日々なことでしょう。

 で、ジムを休んだので読書です。舞城王太郎熊の場所』を買ってきました。

 

熊の場所 (講談社文庫)

熊の場所 (講談社文庫)

 

 

 『熊の場所』『バット男』『ピコーン!』の三本入り短編集です。

 昨日は『熊の場所』を読んだのですが、舞城作品、ちゃんと読んだのは初めてでして(屋根裏部屋に本はあるが)中編だったのですが一気読みでした。

 ちょっと新しい刺激を受けましたね。まず文体。これが独特で一番の魅力でしょう。スピーディーで饒舌。で、切羽詰まった観念が時折ユーモラスにも映る。

 これは多大な影響を与えていることでしょう。到達できるかは置いといて、真似したくなりますもんね。

 メフィスト賞作家なので、ミステリの要素もありました。厳密にはミステリではないですが、この方は、もうそういう次元の小説ではないでしょう。

 謎のクラスメート、秘密を知ってしまった少年、その子の家の庭には缶ケースに切り取った大量の猫の尻尾が。

 少年は恐れおののく。しかし逃げない。恐怖と対峙する。そこで逃げれば、二度とその恐怖を克服出来ないからだ。

 ちょっと、どういうジャンルの話になるのだろう。私の読んできた小説では、適切に言い表せない。文脈が全く違うのだ。

 で、面白くないのか? と聞かれたら『いいや、面白い』と間違いなく返事をする一本。

 気が、熱い気が連続して持続する文体。こういう文体に出会うと『読んでいる途中で温度の変わる人は下手だと思っちゃうんだよなー』とプロ、アマ問わず知らしめてくれる。

 残りの二本も楽しみである。オススメしちゃうよん!

 

熊の場所 (講談社文庫)

熊の場所 (講談社文庫)