呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

銀髪伯爵にスクショを晒されて腹が立ったので言い返す記事

 日頃から甲賀三郎好きを公言している。復刻本の類いや、オークションなど、色々とチェックをしているのだが、ネットサーフィンで甲賀三郎情報を検索することは、ここながらくしてこなかった。

 サイトでは『甲賀三郎の世界』があり、それで満足していたこともあるが、最近、銀髪伯爵という人が甲賀三郎含め、探偵小説の話題を多くブログで取り上げているのを見つけた。どの記事も興味深いものであった。

 内容は素晴らしく、深く読み込まれており、感想も的確で読みながら色々な気付きも得られた。

 読み進めていくと、ある記事で私のツイートがスクショで晒されており、もちろん事前に向こうからは何の連絡もないのだが、こっちの立ち位置を一方的に決めつけて、悪事に加担するなんちゃら一派、みたいなニュアンスの書き方をしていた。

 まぁなんという残念な御仁であろう。

 博識であるのに勿体ない。人格ボロボロではないか。色々とマナーが昭和のままアップデートが止まったままな人のようだ。

 この記事は、私の発言をスクショで晒され、その日はスルーしたが、だんだん腹が立ってきて、そう、関西弁で言えば、気ィ悪い、ごうわくのぅ。というところなのだが、この銀髪伯爵、あまりにも考え方が偏って、嫉妬、妬み、嫉みの念に囚われて相当おかしなことになっていらっしゃるご様子。そして他の晒されている方々は皆大人なので、きっとスルーなのは明白。反論、アドバイスをする方も出てこないようなので、この機会に諭して差し上げましょう、という記事である。

 私も銀髪伯爵同様、幼稚なところがあるのだ。

■俺たちは別に袂を分つ必要なんて無いんじゃねぇの?

 銀髪伯爵氏が、どの作家の推しかは知らないが、探偵小説全般に深い愛情を持っていることは、ブログの文面からでも理解できる。

 これまで断続的に探偵小説の復刻は各社行ってきた。が、論創ミステリ叢書以外どれもそれほど長続きはしなかった。

 

 光文社のミステリー文学資料館編のアンソロが止まってしまったのは個人的にショックだった。止まるのなら相当量な蔵書を、電子化にでもして会員制で閲覧できるようなサービスを始めてくれよ、みたいなことを思ったものだ。

 大手が昭和の探偵小説から手を引いているのは、それが商売にならないから、採算が取れないからだろう。

 そこで銀髪伯爵が糾弾する、私家版、同人出版の話になってくるのだが、氏は、それらの本が誤字だらけで、ぼったくりすぎだ、と指摘している。

 作品ごとに誤字、脱字をブログで列挙しているのだが、私も読みながら気付くことはあるが、並べるととんでもない分量である。

 が、銀髪伯爵氏よ、噛みつきすぎだよ。そこは大目に見て、というか一旦脇に置いて。

 他に大陸書房さん、ここは甲賀三郎を復刻してくれたので、とてもありがたく思っているのだが、銀髪伯爵氏と一悶着あり、大陸書房さんが声明を出したようだった。

 その内容が、ネットで書評してくれるな、とか誤字にツベコベ言うな、的な内容で、これは流石に私も『お金取っておいて、それは酷いだろう』とは思った。なんでそこで意固地になるねん、版元よ。そこは素直に意見を聞き改善したり、耳を傾けるべきであろう。「誰も復刻しないし入力しないからだ!」という気持ちは痛いほど分かる。が、せめて誤字の指摘は聞き入れて、増刷の際は修正しますよ、という簡単な事くらい言えなかったか。

 ここら辺を銀髪伯爵氏はちゃんと指摘しているのに、盛林堂関連の私家版発売をリツイートして拡散した個人のツイートをご丁寧に各人スクショしてブログに貼り付けて、偏った理論で糾弾する。

 貴方の老害ぶりも大陸書房さんとなんら変わらんよ。

 テキストの正確な入力、それは良心の問題だろう。愛とも言える。そして素人なりに入力したのなら、校正を外注なりに頼むのが正規の手順であろう。

 が、あくまで私家版である。銀髪伯爵の叩き方は、大手出版社がそれをやったら、の場合であろう。

 私は叩く前に、埋もれた探偵小説を出版してくれることを、まず先に評価したい。テキストの内容は二の次、みたいなことを言えば、氏に燃料を投下するだけなので、そこは糾弾よりも指摘するなり、育てる気持ちを持つべきではなかろうか。

 だって大手はどこも出してくれないじゃん。定本甲賀三郎全集も、大下宇陀児全集も。

 テキストがなくては議論も再評価もできないではないか。市場が縮小し、大手が手を引き、私家版しか探偵小説を復刻しなくなったのは、貴方も私も、探偵小説ファンが、啓蒙活動をちゃんとできていなかった事も敗因の一つであろう。

 西村賢太ばりの気迫があれば、大手出版社を動かし、藤澤清造の主要作品が現代でも読める土壌を作れたように、探偵小説の復刻も、もっと進んでいたことだろう。

 探偵小説ファンが、若い世代に、そそるような紹介が出来なかった。

 そしてせっかく出してくれる(これを単純にありがたがる、とは言って欲しくない)人達を、クソミソに批判するだけではかえってマイナスではないか、銀髪伯爵さんよ。

 そして私にだって思うところはある。勝手にカテゴライズしないで頂きたい。

 この機会に言い残しておこう。東都 我刊我書房さんの『闇に浮かぶ顔』この六千円は高い。四千円くらいで出せませんでしたか? これは興味はありますが、スルーしました。採算もあるし慈善事業ではないのは承知なのですが。

 このようにテキストボロボロで、高ければ、消費者は考えて購入を判断します。鬼の首でもとったかのように、一つ一つ誤字を抜き出して、出版辞めてまえ。みたいな行動は

不毛。

 何も生み出さない。

 そもそも銀髪伯爵さん、あなた自分が本造りしてみよう、と思ったことないでしょう。偉そうに人に言う割には。

 出来るかどうか分かりませんけどね、素材だけは準備しておこう、と思って、某長編をテキスト打ちしていたんです。私家版を出したくて。どこも出してくれないから。

 長編一本、先週入力し終えたんですが、一年かかりましたよ。数行入力して、間違えていないかチェックして、会社から帰って1日にこれだけ、と決めてコツコツやって先週入力し終えました。一年かかりましたよ。

 そうなると掲載誌の挿絵も気になってきて、高い古本を買いましたよ。まだ全部揃っていなくて、最後の一冊が日本の古本屋で一万超えしてるんです。この時点で資料代3万円くらいですわ。一年の人件費、資料代に3万円。

 で、この文庫くらいの体裁で出したいんですが、探偵小説ファン、今では200部くらいでしょうか。私家版なら100部出れば御の字かもしれません。そうなるとこれ、千二百円なら貴方怒り狂いますわね。じゃあ探偵小説普及のため、800円で出しましょう。完売して八万円。資料代に3万円、印刷代に3万円、一年準備した利益、二万円ですわ。

 これじゃ文学フリマ遠征した先で、焼肉も食えませんわ。それで校正を外注に出して完璧なテキストでお金を貰うようにしろ、と吠えるんですよね。

 やってもいないのに一流の文句言わんほうがええよ

 内容ボロボロのテキストの本が嫌な人は買いませんわ。リツイートしたり宣伝したりするのは、忖度も何もなく、単に探偵小説ファンが増えて、なんらかのきっかけでバズれば、大手も振り向いて、復刊が進むことを期待しているからですやん。

 銀髪伯爵さん、貴方がレーベル作って私家版を出せばいいんですよ。「そこまで人に偉そうに言うんだ、誤字脱字なんて全くないですよね」みたいな幼稚なツッコミをする探偵小説ファンなんていませんよ。きっとあなた監修の本なら、ありがたがります。

 紙の本にこだわらずとも、私のこの本を読めば、ワードさえパソコンに入っていればKindle電子書籍出せます。

 

 正しいテキスト入力、誤字脱字で酷い商売、作家への愛を金科玉条の如く振り翳して、自分では正義の拳を振り上げているつもりで、周りにもそうやってアピールしているようですが、私には透けて見えるんですよ。

一冊六千円、かける二百部、売上120万、いいな、羨ましいな。テキストボロボロやん、けしからん。そんな仕事で120万もの大金を得るのは許し難い。羨ましい。

 利権にたかりたい小蝿臭がプンプンするんですわ。器小さい小さい。

 著作権の切れた作品、貴方の満足する水準で出してみればいいじゃないですか。出せないのなら言うな、とまではこっちも言わない。が、取り掛かって見れば見えてくることも色々ありますよ。校正を外注に出したら採算取れんな、とか。擁護とか抜きで。

 不完全なテキストだから沈黙すべき、という立場は取りませんね。それは消費者が各々で決めることじゃないか。

 貴方が叩くからミステリアス文庫も刊行ペースが落ちている。それは良くない状況だとは思わんか?

 もうね、日本の出版業界、体力がないんですよ。戦前の探偵小説を完璧に復刻する余力も。

 だからトライしている人らは、皆、慈善事業的な気概でやってるか、なんとか人件費、次の資料代を回収できるように、継続の為の値段設定をしとるんじゃないか。

 そこでテキスト入力がボロボロだ。悪のルフィと、それらを称賛する子分達? 何を言うとるんだ貴方は。そんなもの読む方も悪口ではなく「誤字ありましたよ」と言うてやればええじゃないか。それが我慢ならないのなら買わなければよいだけの話。土壌を育てて支えなけりゃ途絶えるのよ、復刻が。

 そのレベルで金儲けする奴らは悪で許し難い。いや、後世のためにテキストは絶対必要なのだ。

 貴方が叩くから「本が届いた。今日はナイスデイだ」みたいに最初は盛り上がっていたのに、空気見て皆萎縮しとるじゃないか。

 俺は屈しない。100パー完璧なテキスト? それに越した事はないが、大手がやらないから有志に期待せざるをえない。で、そこは個人出版だからケアレスミスは大目に見ていこう。これが正しい探偵小説ファンとしての姿勢だと思うがね。

 完璧な形態以外認めないし見つけりゃ徹底的に糾弾する。そっちの方が発展を阻害する悪だわ。俺から言わせりゃ。

 そしてやってる人達は、なんとかこの作品を残そう、と個人でチマチマ古い本見ながら入力して。それは決して楽な作業じゃない。金が動機の一番にくるのならもっと楽な金儲けあるわ。

 探偵小説ファンの足元みた、酷い商いしやがって、とは一概に言えんと思うがね。

 初出誌抱いて棺桶に持って入るのが吉かと。もうこれ以上、探偵小説復刻の邪魔をしないでくれ。