呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

備中松山城2

 前日から「朝の八時半に行くど」と金平にメールをし、相棒の金平は職業上夜型人間なので、朝が弱いのだ。時間カッキリにチャイムを押す。

「かーねひらくーん」

 これは中学校からイントネーション等全く変わらぬ不変の呼び出しである。

 不安そうに金平が出てくる。おばちゃんも見送りに玄関まで出てくれた。

「今日はどこドライブ行くん?」

「倉敷の上の方まで行ってみます」

「気を付けていきや」

 不安げな表情のまま、金平は助手席に乗る。

「もしかして、お城か?」

「お城や」

「どんな城や?」

「山城で現存木造天守や。重要文化財やで」

「知らんがな」

 相棒は重要文化財が拝める、というのに非常にナーバスであった。

「山城ということは徒歩で登るんやな?」

「当たり前やがな、行くど」

 友は半泣きのまま助手席に乗る。

 そしてそのまま有無を言わせず、山陽自動車道をノンストップでブッ飛ばし(笑)拉致&軟禁である。

 城下の高梁という街、川と山に挟まれて、まだ昭和が色濃く残る風情ある商店街が残っていた。

 私は運転手だったので、その画像が無いのが惜しいところ。

 備中松山城は山の8割くらいまで車で登れる。そこから山道を歩いて山頂の天守を目指すのだ。

 車一台通れる山道を車で登り(無線で山の上と下で連絡を取り、交互に行き来させている)10台くらい停められる駐車場を発見。平日なのに結構埋まっていた。

 年配のご夫婦が杖を持ってトライしている姿を多く見かけた。

 野郎二人で山城(笑)

f:id:Kureage:20180822210426j:plain

 自然の岩肌に人工の石垣をミックスさせたハーモニー。土塀も素晴らしい。

 友はうな垂れたまま付いてくる。

 山道は結構キツイ。

f:id:Kureage:20180822210538j:plain

 それにしても、こんな山頂にここまで立派な石垣群。驚嘆する。石一個ですらこんな山頂まで下から持って上がれる気がしない。

f:id:Kureage:20180822210654j:plain

「ホレ、見てみぃ金平。見事な石垣と土塀やろ。目に焼き付けとけ」

「喉乾いたな」

 友は疲れすぎて、声が一オクターブ上がっていた。

f:id:Kureage:20180822210818j:plain

「まだ階段あるんかい」

「頑張れ金平、昔の人はここをクソ重い鎧着て登ってたんや。それに比べれば、ワシらTシャツにジーパンやん」

「それ喩えられても今江戸時代ちゃうし」

f:id:Kureage:20180822210948j:plain

「ほれ、見えてきたぞ、もう一息や、頑張れ」

f:id:Kureage:20180822211020j:plain

「素晴らしい、なんて美しい山城なんや。どうや金平」

「お前なぁ、今わしの足、小鹿のようにプルプル震えてもうとるがな!」

 震える足でようやく建築群へ。

〜続く〜