呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

最新刊 呉エイジ『ワガツマレザレクションズ』発表!

 

 完成しました。前々から呟いておりました、呉エイジ私小説、で予告しておいたドキュメント。最後にタイトルが決まりました。それまでは『ある不幸』という仮題で端末に保存したままになっておりました(売れなさそーなタイトル)(笑)

 マトリックスの新作に乗っかって、レザレクションズと名付けました。まだここのツッコミはありませんが。

 好評、不評、初めて星一つを喰らいましたね。何が届かなかったのか。フリマあるあるをお笑いのベースとした、自分ではエンタメの新境地のアプローチで取り組んだのですが、届かなかった方もいたみたいです。

 さて、ここでは何を語りましょうか。裏話、というか、創作論になるのですが、完成してみて気付いたことなどを書き残しておきます。

 今、創作中の方、構想中の方のヒントやひらめきに繋がれば嬉しいです。面白い作品読むの大好きですから。

 読んでくれた方の感想でですね『なんかこう、頭の奥の方で、ずっと『借金の理由ってなんだろう』って引っかかってた。それが読む原動力にもなってた』という意見をいただきましてね、なるほどそうか、と。

 作り手としては、単純に言いたくなくて、触れたくなかったから一番最後に回した、という程度なのですが、これは今まで読んできた小説、特に結城昌治の作品とかでよく摂取してきたかな。

 物語の最初の方で登場人物が当たり前のように軽く謎に対する会話をして(キャラクターは当然深いところまで知っている風の会話)読む側は全部を把握していないので、なんとなくの推測で読み進める格好のスタイル。

 読み返してみて、あぁ、あの会話はあの謎のことを指していたのか、みたいな形のもの。

 それに偶然なっていたな、と。初稿の段階では、冒頭でまず借金の原因のシーンがあったのですが、書いていて辛く、消しました。そして言い訳のように『徐々に明らかにしていきます』とだけ書いて、その後のフリマ生活から物語をスタートさせました。

 それが読む人によってはボンヤリと『で、原因って一体なんなんだろうなぁ』と思わせながら読んでもらう効果に繋がったみたいです。

 これは創作論として結構有効な引きになるのではないか、と今回強く感じました。

 想って想って、やっと口説き落とした美魔女、そこに至るまで妄想しまくりです。そうして迎えたラブホテル。

 もし自分がシャワーから出た時に、美魔女が全裸で、床にM字開脚のままタバコを吸っていたらどうです?

 どんな乳輪をしているのだろう、陰毛は薄いのであろうか、そういう妄想からの期待が段階を踏まず一気に目から全情報として飛び込んでくる。

 楽しみとしては相当なマイナスですよね。やはりガウンを肩から徐々にずらして、行為(物語の進行)を楽しんでいく。

 最初に物語の核心全てを公にせず、焦らしながら小出しにするのが、エンタメにおいて有効なのではないでしょうか。

 そんなことを感じた次第。賛否両論の本作、どうぞ一つ可愛がってやってください。