本棚に目をやると、気にならなかったものが気になりだしてくる。
国書刊行会の「探偵倶楽部」シリーズだ。これは私の大好きな戦前の探偵作家が読める、この当時の渇きを癒してくれた貴重なシリーズであった。
しかし、これもまた私の悪い癖。当時の気になる作家だけしか集めていない。
過去の自分にスパンキングである。
気持ち悪いだろうが。欠けた本棚が。
煙草を我慢して(当時の私はヘビースモーカーであった)何故頑張って買い揃えなんだか! 未熟者め。
何冊か欠けているぞ。城昌幸とかもあったな。
当然、新刊書店からは消えている。古本屋で目にしたら揃えるべし!
※
さて、今回は「紫外線」を読み終えた。
このシリーズは少年探偵ものでありながら、科学技術の啓蒙書でもあるのだ。
今回は「石英水銀灯」のうんちくと紹介がある。大人でも知らない水銀灯、これは紫外線を発するものらしい。
そしてアニリン色素は紫外線に当たると蛍光を発するそうだ。
この科学知識を「暗号」に組み込んで、塚原俊夫くんは買ってもらった石英水銀灯を使って、謎のメモを解読するのだ。
せっかく暗号は書かれているが、読者は解くことができないのである(笑)
そして犯人特定の推論は、水銀灯を持つのは医者だろう、から出発し、自分の水銀灯を駆使しての大活躍。
大人を差し置いての解決編は、もう読みながら微笑ましい領域になってきた。
1926年(大正15年)7月「子供の科学」