本日は相棒の金平とドライブの日なのであった。
神戸あたりへ古本メインでブラリと出かけてみた。そうして車のダッシュボードには、いつも小型ハンディカムがセットされる。
会うときは大体録画するのだ。それはお互い、今作っているもの、作る予定があるものを話し合い、話す過程において相手の盛り上がりを加味しつつ、自分でも形を整えていく、という作業に繋がるからだ。
そして録画した映像は半年か一年後に「全プレ」と称して相手に送りつける。
録画は互いに「実のある話をしよう」という気持ちにさせてくれるのだ。
元町の「うみねこ堂」さんに寄ってみる。
ここはミステリ本が充実している。店主さんも本業以外に色々とミステリ関連の活動をされていて、活気のある古本屋さんだ。私の甲賀や大下、幻影城関連の話にもニコニコと応対してくださった。
シャーロックホームズのライヴァルたちの二冊をまず購入。
そうしてレジ脇に陳列してあった「文藝春秋」値札の掲載作には「甲賀三郎・大下宇陀児」の名が! まるで私に「買ってくれ」と言わんばかりに光り輝いていた。
迷わず購入。
そうして元町でこってりラーメンを食す。ンマーイ!
ドライブしながら相棒金平の最新作「モノがたり」なんで最初に無料で配布したのか! とキツく叱責。
「まぁええやん(笑)」
とは本人の弁。
私も書きたいと思っている話を熱く語ってしまった。
サラリーマンの同僚相手では、このような話はできない。
私にとって、本当に至福の時間である。
※
さて、今回は「塵埃は語る」を読み終えた。
この回ではなんと、塚原俊夫くんが敵方に誘拐されてしまう。事務所へ依頼に来たのは誘拐事件の依頼であった。豊くんが誘拐されたのだ。
三万円用意すれば無事に返す、と言っている。
その捜査に乗り出した塚原俊夫くんを、犯人グループは逆に送迎用の車だと偽装して、そのまま拉致してしまうのだ。目隠しをされ、どこに行くのかわからないようにして、だ。
ここで子供ながらになかなかやる、と思わせるのが、誘拐先の床の埃を、塚原俊夫くんは採取して、ポケットに忍ばせていたことだ。
そして監禁されていたのが沿線沿い、寺の屋根が窓から見えていたこと。しかしそれだけでは場所が特定できない。
解放された後、塚原俊夫くんは顕微鏡で埃を分析する。すると近所の工場から流れ出たものが混じっていた。
「小麦等が確認できるから製粉工場、あとセメントの原料も見える。セメント工場もだ」
その二つの工場があり、沿線沿いで寺の近く。
それでバッチリ敵のアジトは一網打尽。グーグル先生も真っ青の特定術だ。
「誘拐されたら僕も床の埃を取っておこう」
これを読んだ少年少女は、きっとそう思ったことであろう。
1926年(大正15年)12月「子供の科学」