呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

ジムの駐車場で

 昨日は案の定、嫁さんの晩酌に付き合わされ、コップ一杯のビールでボロボロになり読書もブログも吹っ飛んだ1日となった。

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 なので、本日も読書の時間は取れず、日記のみの更新である。

 昨日、思い切って買ってしまったのだ。河出レトロ図書館シリーズの二冊を。

奇談クラブ

奇談クラブ

 
沙漠の古都 (レトロ図書館)

沙漠の古都 (レトロ図書館)

 

 結構なお値段である。半月ほどウンウン悩んでいたのだ。

 新刊、初版、帯付きを買うべきだ。心の中でもう一人の私が叫ぶ。

「でも、小遣い激ヤバやん! 月末どないすんねん。論創ミステリの新刊のお金も置いておかなあかんやんけ」

「飛び込め、取り敢えず飛び込め。苦しむのは月末の自分や。今が幸せならええやないか」

「まるでワシの人生の縮図を見とるようやのう。そんな破滅的な生き方でどないすんねん」

「なら新刊書店の棚から次行った時に消えてたら、お前諦めきれるんか?」

ぐぬぬ

「缶コーヒー飲むな。間食すな。公園で水飲め」

「うわーん」

 このような葛藤の末、購入したのである。

 それから本日、ジムの駐車場で「まゆゆ似」の彼女を見た。辞めたと思っていたのに、ただ来る時間がズレていたのだ。

 しかし様子がおかしい。前に見た時に彼女の白い軽四は覚えていたので、自然と足が止まった。

 室内灯を点けてスマホで深刻に文字を打っている。

 泣きそうな顔だ。

 叩くような感じでスマホに文字を打ち込み、両手で握りしめてじっと画面を見ている。

 私は他の車の隙間から10分ほど様子を見ていた。

「これは喧嘩だ。恋が終わりそうな顔をしている」

 彼女は返事をずっと待っている。外から覗かれていることなど気付きもしないで。

 そして返事が来ると画面に顔を近付け、すぐさま返事を打つ。泣きそうな顔だ。

 彼女が既婚なら亭主と、独身なら彼氏と、きっと今深刻な状況なのだろう。

 ここのところ私生活が乱れていたのか。

 ジムに入る素振りは全くない。ずっとこんな感じだったのか? 会社から帰り、ジムには来るが駐車場で喧嘩。

「君みたいな可愛い人でも恋に苦戦するんだね」

 と言ってみたい。

 助手席にスマホを投げると彼女はエンジンをかけて、急発進して飛び出して行った。

 ジムで見ないわけだ。

 喧嘩の続きに会いに行ったのか。相手に別の女が出来て追いかけに行ったのか。

「恋の終わりに割り込むと、無理目の女性とでもお近づきになれる」

 と、孫子が言ったような、言わなかったような。