さて、残業で帰宅が遅くなったので、日付が変わらぬうちに昨夜読んだ「紅色ダイヤ」の感想などを。
12歳の少年、塚原俊夫くんの探偵譚である。もう、この世界観が聡明で明朗で活発で利発すぎて。
これを読む少年少女たちよ、日本の未来のために理知的で科学的な思考を持ちなさい、という小酒井不木のメッセージが透けて見えて、ダメ人間の私などは眩しすぎて困るのだ。
大正13年の作である。
主人公の塚原くんは勉強熱心で、勉強だけでなく俳句も大人を唸らせる句を読み、成績も優秀。
あまりに利発なので、お父さんが実験室兼事務所を作ってやり、大人が依頼にやってくる、という子供の目から見ればスターのような設定。
用心棒として「大野さん」という人を雇い、結構タメ口で(笑)大人に向かって意見したりする。
叔父さんと知恵比べをして高価な「紅色ダイヤ」を賭ける。暗号解読が主なストーリーだが、少年読者にとっては、指紋を採取したり、その指紋を写真撮影してファイリングしたりするシーンに、血わき肉が踊ったのではないだろうか。
こういう眩しい作品を読むと、私の中で劣等生根性がムクムクと鎌首をもたげ「明朗・活発・不謹慎」みたいな少年探偵物の骨格が頭の中でガッチリ組み上がってしまった。
仕事中ストーリーをまとめながら一人爆笑していた1日だった。
これは書かねばなるまい。またキンドルで出す折には皆さまどうぞ温かいご支援を。
1924年(大正13年)12月「子供の科学」