呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

彦根旅行2

 今日はノルマを口にする上司もいなければ、即ギレスイッチの異名を持つ嫁さんもいない。

 天気は微妙な曇り空だが、なんとか雨にはならずに済んだ。

 我々は日々の苦労を互いに労い、謂わば『ネギラー』と化し、生活のストレスを解消すべく、姫路から一路滋賀県を目指していた。

 一発では行けない。我々は五十歳なので、喜び先走って一気に飛ばそうものなら『頻尿地獄』が待ち構えているのは明白である。

 ちゃーんと途中でおしっこを済ませてから目的地へ向かうのだ。

 というわけで明石インターでトイレ休憩。

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 新年の挨拶を済ませ、久しぶりの再会に握手を交わす。

「お互い新刊を出せて良かったな」

「我が妻、好調やないか」

「おまえこそ。連載島、めっちゃレビュー付いてるやん」

 

 

連載島 (ヤングキングコミックス)

連載島 (ヤングキングコミックス)

 

 

 二人でそれぞれの創作に対し、簡単な意見交換。2020年、幸先の良いスタートである。

「今日は予定お任せしてるけど、どういうペースで行くんや?」

「まず琵琶湖の左下から攻める。で、反時計回りでグルーッと彦根を経由して長浜まで、二泊三日で城二つ攻めたいな」

「おいおいおい、オマエ最初一泊って言うてたやないか」

「気付いたか」

「気付いたわ!」

「いやぁ、誤魔化し通せると思ったんやけどなぁ(笑)」

 だまし討ちでどさくさに紛れて彦根城長浜城をじっくり見学するプランを立てたのだが、人気作家の金平先生は連載が増えて、スケジュールが引っ張り上げて食い込ませたパンストの如く、ビチビチなのであった。

「定休日とか大丈夫やろうなぁ。松江、米子ではボロボロやったもんな、オマエのプラン」

「今回は大丈夫やろう。日頃の行いがワシらはエエんや。神様はご褒美をくださるはずや」

「またノーチェックかい! めっちゃアバウトなどんぶり勘定ぶりやのぅ」

 渋滞にもひっかからず車は大阪を通過し順調に滋賀県へ。

「よっしゃ一軒目や! 張り切って行こう」

 

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 時間は11時22分。まずはハードオフからである。血湧き肉躍る。『誰がぜい肉も踊ってますね』じゃゴラァ!

 瞳孔が開ききった状態で店内を物色。ここはレトロゲーが凄かった。メガドラマウスの箱付きとかあった。あとセガマスターシステムのソフトとかPCエンジンデュオの本体まで置いてあった。

「ほ、欲しい。が、高くて手がでん……」

 金平はコンデジを物色。

「ん? オマエどないしたん? 結構エエやつのサイバーショット持ってたやん。壊れたんか?」

「それがな、出版社のパーティー行ってな、有名作家さんと飲めて舞い上がってな。嬉しいのと悪酔いしたのとで、家に帰って気付いたらデジカメないねん(号泣)」

「会場でか? 駅とかでか?」

「分からへんねん」

 友はメソメソしていた。

「このあたり、どう思う?」

 10年くらい前のニコンコンデジが割と安く売られていた。

「1620万画素やん。充分やで」

 格安だったので箱も無く、本体をビニールで巻いただけでピアノ線で吊られていた。周辺機器も全く無い状態である。

「あのぅ、これ、充電方法とかは?」

「ええと、それはもうそのビニール袋の中身だけの販売になるんですよ」

 本体からバッテリーを抜いて、そのバッテリーをコンセントに刺し充電することはできないようだ。そこで私が本体の側面を見て気付く。

「あっ、店員さん、これバッテリー内蔵させたままで、横からUSB-A刺せば、本体で充電とか出来るタイプですか?」

「穴はありますね。試してみましょう」

 店員さんは奥のジャンクコーナーに行く。そうして大量の様々な規格のケーブルから見つけ出しレジに戻ってくる。

「USBをコンセントに刺す器具はお持ちですか?」

「持ってないんですよ」

 再び店員さんは別のジャンクコーナーに行って、iPhoneでもお馴染みの、白い四角いUSB穴の空いたコンセントを持ってきた。そして全て連結。コンセントに刺してみた。デジカメの充電ランプが点灯する。

「やったぁー!」

 三人で声を上げる。妙な連帯感が生まれた瞬間であった。

「じゃあこれ、全部買います」

 友はホクホク顔であった。

「やっぱ一眼も持ってるけど、コンデジが楽でええわ」

 中古のSDカードも購入して店を後にする。その近所にブックオフもあるので移動。

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 12時、近くのブックオフに移動。本、DVD、写真集を物色し、購入リストに沿ってロボットのように無駄なく確認していく。

 ダラダラと見るのではなく、要領よく店をはしごしていかなければ、すぐ夕方になってしまうことを、我々はこれまでの経験で知っていた。

 さぁ、お宝に巡り会えるのか。

 

〜つづきます〜

彦根旅行1〜旅のしおり〜

  新刊が無事に刊行できたので、ご褒美として遊びに行くことにする。

連載島 (ヤングキングコミックス)

連載島 (ヤングキングコミックス)

 

 

 有給を消化しきれていないので、三月で消えてしまわぬ内に使うことにした。現存12天守のうちの一つ『彦根城』へ金平を連れ回して差し上げる(笑)旅を計画した。

 我々の旅は、男二人旅であるにも関わらず、嫁さんの目を盗んでストリップとか風俗などとは全く無縁なストイックな旅なのである。

 まず、車のダッシュボードにビデオカメラをセットし、毎回旅の記録を全プレとして配布している(といっても二人だけだが)。

 語られる内容というのは、創作談義である。誰だ『きしょい』とか言う人は。

 それを永久保存版として、たまに見返すのだ。そうして金平が先に死んだら私が、私が先に死んだら多分金平が、おいおいと泣きながら見返すことだろう。それが人生だ。

 城を中心に、今回も周辺の古本屋、ブックオフを攻略していこうと思っている。

 

BOOKOFF 滋賀西大津店 滋賀県大津市松山町4−30

ハードオフ西大津店 滋賀県大津市皇子が丘3丁目9−1

古今書房 滋賀県大津市中央1丁目5−5

古書クロックワーク 膳所駅前店舗 滋賀県大津市馬場2丁目9−8

まんがひろば 滋賀県大津市大萱7丁目13−6

お宝ザクザク大津店 滋賀県大津市大将軍1丁目1−27

ダイナミックレコード 滋賀県草津市野村4丁目9−22

BOOKOFF イオンモール草津店 滋賀県草津市新浜町300

BOOKOFF 滋賀草津追分店 滋賀県草津市追分南1丁目1−19

ハードオフ草津栗東店  滋賀県栗東市坊袋251−1

あけぼの書店 滋賀県草津市野村3丁目3−23

BOOKOFF 滋賀草津駒井沢店 滋賀県草津市駒井沢町33

買取倉庫 甲西店 滋賀県湖南市夏見163−1

BOOKOFF 堅田店 滋賀県大津市真野2丁目29−1

BOOKOFF 近江八幡店 滋賀県近江八幡市白鳥町37−1

本の森 滋賀県近江八幡市出町4

北川書店 滋賀県彦根市高宮町1893

BOOKOFF 彦根店 滋賀県彦根市高宮町1525−1

半月舎 滋賀県彦根市中央町2−29

開放倉庫米原店 滋賀県米原市顔戸1429

(株)泰山堂 滋賀県米原市長岡1725−7

ハードオフ長浜店 滋賀県長浜市宮司町1148

さざなみ古書店 滋賀県長浜市宮前町10−12

三洋堂書店 長浜店 滋賀県長浜市小堀町424

BOOKOFF 滋賀長浜店 滋賀県長浜市八幡中山町535

 

 リストアップしてみたが、今回もなかなかの強行軍である。旅のレポートはiPhoneからツイート報告と、このブログと、あと、途中でツイキャス中継できたら移動中にやってみます。二人とも新刊出たてホヤホヤなので、その辺の話などを織り交ぜながら。

我が妻との闘争2020〜浮気心の代償 篇〜

 有言実行! 遂に完成しました!

 

 

  リアルでは年下の上司にメッサ怒られる日々ですが(苦笑)ネットでは結果を出す男、呉エイジでございます。

 

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 発売日、予想だにしない順位を頂きました。皆様のお陰でございます。

 今はこれを打ちながら祝杯を上げております。下戸だけど(笑)。

 今回は時間がかかりました。途中『書き下ろし、完成できるだろうか』みたいな弱気な感じになりもしましたが、なんとかやり遂げましたよ。大いなる安堵に今は包まれております。

 いいのが出来ました。可愛がってやってください。

 

 

新年一発目

 皆様、だいぶ遅くなりました。あけましておめでとうございます。

 2020年、あたくしは現在作業を進めている『我が妻との闘争2020〜浮気心の代償 篇〜』で毎晩せっせと頭の中の文章をアウトプットする日々でございます。

 三日坊主はとりあえずクリアしました!(笑)

 今年は『走る』『自分の文章を書く』『短編を寝る前に一本読む』を己に課し、まずは早い段階で我が妻の新刊、そしてずっと頭の中にある懸案の長編二本の制作に取りかかりたいと思っています。

 さぁ、最近の私の愛用品を皆様にもお勧めしておきましょう。実はSNSの誘惑に駈られぬよう、文章に専念するために『ポメラ』が欲しかったのですが、iPhoneを機種変し、11のproMAXになったため格段に処理能力が向上し、スマホでテキスト入力することにしました。

 それでこいつを買ったのですが、これが良い。

 

 

 真ん中にボタンがあり、押すとスライドして高さ調節ができ、背面の足も適度な堅さで角度を調整できます。

 このメカニカルな感じがいいんです。

 それに二階の私の自室は『部屋に籠もって出てこなくなるから』という嫁さんの命令により、暖房設備が無く(号泣)このシステムならリビングのホカホカカーペットの上で作業できて快適です。

 

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 金のMacBookは、iPhoneでひたすら入力したテキストを、最後に纏めて電子書籍化する母艦とし、今年はフットワーク重視で、立ち上げ時間も瞬時なスマホで制作していこうと思います。

 このコンパクトなテキスト入力環境、とても集中できてオススメです。本当はもっとコンパクトな折りたたみブルートゥースキーボードも欲しかったのですが、今使っているキーボードが故障も無く動いているので、しばらくはこれで行こうと思います。

 一月、遅くとも二月の前半には、我が妻の新刊を出せるよう現在急ピッチで作業中であります。

 その折りはどうぞ、皆様のご支援を賜りたく存じます。

 今年も良い一年にしていきましょう!

相棒の金平の最新作『連載島』

 

連載島 (ヤングキングコミックス)

連載島 (ヤングキングコミックス)

 

  2019年も押し迫って、相棒の金平がシーンに爪痕を残す問題作を発表した。

・メタ的な作品が好きだ。

・B級臭はたまらない

・謎で引っ張る展開は好み

・オッパイが好き

 など、一つでも該当すれば読む価値のある作品である。

 私はこれを、物凄く不器用な自分が生み出した物への愛、として読み取った。後半の目まぐるしく変わるカーテンコールは、昨今のネタを畳みかけるようなスピーディーな漫才を思わせ、また自虐とも違う、これもやはり不器用な生き方のメソメソさが新しいアプローチであり、そこが時代に合致した。

 と思わせる実験作である。その証拠に、これまでのKindleレビューは加速度的に好意的な意見が寄せられている。

 新年、この作品のドライブツイキャス大放談を勝手に予定している。来年の頭、金平ファンはツイッターの通知をオンだ。

 

連載島 (ヤングキングコミックス)

連載島 (ヤングキングコミックス)

 

『新・我が妻との闘争』始動! その2

 結婚25周年で色々サプライズをですね、したのですが嫁さんは憎まれ口ばかり叩くのですよ。

 旅行もですね、奮発して金沢に宿をとりましてね、出来立てホヤホヤのホテルで内装など全てにおいてゴージャスでしたね。エレベーターなんか金ですよ!

 

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 そしてホテルの備え付けのドライヤーが、なんとダイソンで、私、一発で気に入ってしまいました。

 

HD01 WSN Dyson Supersonic ホワイト/シルバー

HD01 WSN Dyson Supersonic ホワイト/シルバー

 

 

 未来感溢れる形状で、音も漫画、ガンツに出てくる兵器みたいにキュィィィィン、みたいな。中年男性の皆さん、普段家電量販店に行っても、ドライヤーのコーナーなんて見ないでしょう。これ、使うと一発で魅了されますよ。今、一番欲しい家電ですね。ですが、お値段おったまげの五万円! おいそれと手が出ませんね。

 前回の折りたたみテーブルがイマイチこっちが思うほど喜んでくれなかったので、今回は男を見せましたよ。

 旅行の日、運悪く台風が来たのです。そして大阪から金沢を結ぶサンダーバードが運休になってしまったのです。

 ホテルはせっかく予約してあるのに、行く足が無い。

 私は言うてやりましたね。

「助手席で寝とけ。ワシが金沢まで夜通し運転しちゃる」

 姫路のブルース・ウィルスの名は伊達ではなかったのです。あんまり考えないで言い放ったのですけどね。あとでこっそりググったら、五時間半とスマホに表示されました。

 それでも向こうでホテルは押さえてある。電車だけの問題でした。この日のために会社も休みを取っていましたし。行く気も満々でした。

 結局、北陸道を通って運転しましたよ。

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 結果、行って良かったですね。金沢は晴れてましたから。

 金沢城

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 武家屋敷も

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 東茶屋街も最高でしたね。

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 美術館も芸術を解さぬ夫婦ですが、楽しめました。

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 で、ここまで頑張って連れてきたのに、抗争勃発ですよ。

 と言いますのは、昼にグリルオーツカさんの名物、ハントンライスを食べてですね。

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 夜には金沢名物、金沢カレーを食べたのですよ。

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「私、Sにしようかなぁ」

「せっかく来たんや、M食べよ」

 と、私ががっつり食べさせたのです。そして翌日はホテルの朝食バイキング。で、問題の昼ですよ。

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 嫁さんが一番楽しみにしていた、近江町市場です。

「あ、あんたが色々食べさせるからやな、胃もたれして一番楽しみにしていた海鮮丼、食べる気が起きへん」

「な、なんでや。もうお昼やないか。ワシお腹ペコペコや」

どんな腹しとんじゃ!

 嫁さんは市場の真ん中で大激怒です。通路にあった発泡スチロールの中のズワイガニが驚いて足を伸ばしました。

「きっと美味しいから入るって、食べてみよ」

「無理や、昨日アンタがカレーMを注文したからや。アンタのせいや

「じ、じゃあモーニング抜きにしたら良かったやないか」

あの高い宿泊代は朝食込みなんじゃ!

 楽しい旅行のはずがヒートアップして何故か嫁さん激ギレです。

「な、なら歩こ、ウォーキングしてお腹減らそ」

運動と違う、胃もたれやって、さっきから言うとるやろうが!

 そんなもんお前の腹の調子をワシに怒ったって仕方ないやろうが! と内心怒っても嫁さんの怒りは収まらず、よく見れば半泣きで市場を早歩きで抜けていきます。

 食べ物の恨みは怖い! 通りには日本海の新鮮な海鮮丼の看板が並んでいます。こってりしたものを食べさせ過ぎて、本当に食欲がないのでしょう。

 金沢がイチオシしているらしい魚『のどぐろ』のポスターが、恨めしく私を見つめていました。

 こんな感じで金沢を二時に撤収となりました。お昼抜きで車です。もう帰らなければ、姫路に八時になるからです。私のお腹はギュルギュル鳴っています。

 嫁さんは助手席でふて寝してしまいました。

 結婚25周年、26年目からも暗雲が立ち込める我が家でありますよ。 

 

〜完〜

『新・我が妻との闘争』始動! その1

 相棒の金平による拙著『我が妻との闘争』のコミカライズ版が発売となりました。パチパチパチ。

 

 

 これはこの本に収録されている巻末にある私の解説にも書いたのですが、以前コミックチャージで連載されていた2巻分のエピソード以外の話を、順番にコミカライズしていく、というものです。作者金平によると、全話完成には軽く10年はかかるそうです(笑)

 売り上げも好調なようで、私もホッとしております。あと、このシリーズは私も全力で良いものにしていこう、と思っているので、今回早速金平に注文しました。

 iPadの一番巨大なやつならともかく、通常サイズのキンドル端末で、この本のセリフは小さく感じました。

 拡大すれば済むことですが、それでは快適性が損なわれます。この本、若者は読まんでしょう(笑)老眼の中年世代に向けて、目に優しい作りに方向転換していくよう要請しました。あとがきのフォントサイズも小さい。

 紙媒体での仕事が長かったので、雑誌の常識を一旦捨て、アイツには電子書籍、それも同世代に向けたチューニングを施していってもらいたいです。

 ご意見ありましたら、ぜひこのコメント欄かツイッターでも気軽にお申し付けください。

 さて、今年は結婚25周年というメモリアル年で、最近も色々ありました。

 まず聞いてください。結婚記念日にですね、こっそり有給を取って会社に行くフリをしてユーターンして、二階のベランダにシャンゼリゼ通り(行ったことないのに適当!)のようなムードに変える折りたたみテーブルをサプライズプレゼントしたんですよ。

 

 

 これ、使わないときは折りたためるので超オススメです。

 キャンドルグラスも買ってきてムード満点ですよ。それでですよ? 奥さん。ここまで喜ばそうとしてやったのに、嫁さんなんて言ったと思います?

 

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「たった一回こっきりの為に、こんなん買ったんかいな」

 ですよ? 我が耳を疑いましたよ。難聴になったのかな? って。

 どうして女性は彼女から嫁にメタモルフォーゼすると、こんな現実的で可愛げのないことを平気で言えるようになるのですかね。浮気するぞ。

 それでも気を取り直してメモリアルデイのお祝いです。そしてこれはこのブログで何回もオススメしているので、この会社の回し者ではないか? と思われるかもしれませんが違います。

 このテーブルの上に、必殺『炉端大将』の登場ですよ。

 

 

 この炉端大将を使うとですね、ホットプレートで焼肉をした時に出る脂が肉に浸かってしまうときありますよね。

 しかしこれを使うとですね、脂が落ち、安肉でも激ウマに激変するのです。

 

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 これのお陰で、スーパーの安い肉でもすごく美味しく食べられるようになりました。貧乏人の味方ですよ。味がワンランクアップします。フライパンやホットプレートでは絶対に無理な味ですね。

 ここまでしているのにですよ、この写真に映る食材も少ない私の小遣いからですよ。それに印税をプラスしまして買い集めてきまして。

 で言ったセリフがこれですよ。

「煙の苦情が来んか気が気じゃないわ」

 私は言うてやりましたよ。お隣は道路を挟んでいるし、風向きは裏の畑だし、そもそもここは二階で近所の一階のリビングに煙は行かないし、焼きあがる煙は二階を起点に上へ行くし、文句ばかりよく言えたもんだな、と。

 後半は食べながら喧嘩ですよ。

 どうしてこうなるのか、ちょっと回数書きます、この話題。お付き合いください。

 

〜続く〜

佐野元春ニューアルバム「或る秋の日」濃厚レビュー

 

或る秋の日(受注生産限定盤)

或る秋の日(受注生産限定盤)

 

 

 長く佐野元春のファンを続けている。リアルタイムではヤングブラッズのリリースから。傑作アルバム『ビジターズ』は後追いの昭和44年生まれファンである。

 昨日発売の佐野元春のニューアルバム『或る秋の日』

 このアルバムは、ここ数年のアルバムの中でも傑作である。詩、メロディ、そしてボーカルの表現力など、新境地と言っていいほどで、内容はとても内省的で聴く者の感情に強く訴えかけてくる。

 既発の先行シングル4曲に新曲の4曲の全8曲構成、時間にして30分。曲数といい時間といい『ミニアルバム』の体裁だ。

 これまでに佐野元春は雑誌のインタビューで『今度のアルバムはコンセプトアルバムだ』とか『アルバムを一本のロードムービーのようにして纏めた』という発言をしてきた。

 そして実際に『ミスターアウトサイド』を後半にリプリーズで配したり、庭で始まり庭で終わる、という狙いや、コヨーテのロードムービー仕立てなど、提示されてはいるが、中にはバラエティに富む多彩なソングライティングから、その狙いがぼやけてしまうナンバーも収録されていた。

 これまでのキャリアで唯一『コンセプトアルバム』『トータルアルバム』として突出しているのは、単身ニューヨークで作り上げた『ビジターズ』である。

 ピリピリするほど統一されたサウンド。日本を離れ『訪問者』となった視点からの詩。それはとても内省的なものから発していた。

 そして、今回のこのアルバムの印象、下世話な話をすれば、ツイッターで得た又聞きだが、佐野元春が近年、離婚と再婚を経ている、ということ(佐野元春自身はそういうワイドショー的な興味でアルバムが売れる理由の一つになるのはたまらなく嫌だろう)。それを踏まえれば、この熟年離婚、失恋、喪失、失意、傷心、といった感情が、万華鏡のように展開した、真のトータルアルバムになっていること。

 それは恐らく佐野元春の本意ではないだろう。

 世間は佐野元春にどんなものを求めているか。それは『強さ』である。社会に異議申し立てをする姿勢。『警告通り計画通り』に見られるジャーナリズム性。硬派なロッカー。本人もこれまで『強い』佐野元春であろうとしてきた。

 だから、この『自分への癒し』となるサウンドの数々は、深く哲学的で恐ろしくトータルアルバムの形に仕上がっていく過程でも、強くあろうとした佐野元春は『だけどミニアルバムだけどね』と、崩れ落ちずにシャンと背筋を伸ばす。

 聴き終えた今では『この世界観をフルアルバムで聴いてみたかったよ』という気持ちがないでもないが、そこが佐野元春の強さであるし、長年信頼している音楽への誠実さでもある。

 ミニアルバムだよ、とこちらの心配をスカしてはいるが、描かれているのは、とても傷付いている佐野元春、こんなに傷付いて弱々しく心情を吐露している佐野元春はとても珍しい。これは失意と再生、それらを癒す極めて内省的なヒーリングミュージックだ。

 録音は2014年。相対化するまでに五年もかかっているのだ。傷の深さが伺えるし、収録された楽曲が生まれ落ちるのも納得できよう。

1・私の人生 傑作。佐野元春流ウォールオブサウンド。〜愛って何ていうか 空回りの理想〜という詩。そして〜このありふれた愛すべき日々の人生〜への繋がり。

〜人のことなんて誰もわかっちゃいない〜作中の相手は『妻』なのだと私は読んだ。日々深まり、感じる『齟齬』。長年連れ添っていても人のことは、自分以外の人生なのだ。だから改めて見つめ感じ直す〜日々の人生〜それは誰もわかっちゃいないが、生きている限り続いていく、ものなのだ。

 ツアーに明け暮れる日々。『子供が巣立ったので別々の道を歩みましょう』という会話を妄想する。それは仕事に明け暮れるサラリーマンにも当てはまる。家には目もくれず家族のために身を粉にして働いてきた男。いつの間にか冷え切っていた愛すべき、絶対に崩れるはずがない、と盲信してきた相手からの別れの言葉。「え?」としか言えないではないか。

2・君がいなくちゃ 色々と含みのある歌詞である。〜いつの日か二人を分かつ時が訪れるとしても〜終わりが生活の中で見え始めてきている。その中で祈りのように響く〜君がいなくちゃ〜〜心が落ち着かない〜男は全然強くなんてない。弱い生き物なのだ。女性より強いのは腕力だけ。たったそれだけ。

3・最後の手紙 個人的の本アルバムのベストトラック。男はロマンチストなのだ、と思わせる世界観。失恋は男を詩人にさせる。出会った頃の情景、思い出は美しい、そうあってほしいよ、という歌詞に、張り裂けそうな失意が伝わってくる。

 男は叫ぶ。君のために書いた唄を心に留めておいてくれ、これが君に書く最後の手紙になるだろう。そう思うと涙が止まらない。子供達にもよろしくと伝えといてくれ。

 男は感傷で心が押しつぶされそうになる。それでも精一杯立とうとする。しかし『女』という生き物は、男のそんな感情を他所に、作ってもらった唄も忘れ、新しい生活の準備や、未来のことで頭がいっぱいなのだ。感傷には決して付き合ってはくれない。関係が終わった女、という生き物は、この世で一番冷酷な生き物なのだ。終盤には伝家の宝刀「デュデュデュ」スキャットが出てくる。古くは「グッドタイムス&バットタイムス」「グッバイからはじめよう」などで聴くことのできる、無条件に郷愁感を誘う元春の武器。

4・いつもの空 これまでの佐野元春のキャリアでは、まず出てこないであろう内省的な歌詞とメロディ。しかし若い頃には『バッドガール』のような弱く女々しい一面も持つのだ。そしてこの作品は寂しさが残酷なまでに響く。カーステでツッコミが止まらなかった。〜朝、小鳥のさえずりが楽しげじゃなけりゃ、寂しくはない、君がいなくても〜さっきは君がいなくちゃって、言うてたやん。まずそこが痛々しい。それに朝は大抵小鳥は楽しくさえずるやん。さえずらん日はないやん、ならずっと寂しいやん! 曲は二番に続く。〜朝、台所がシンとしてなけりゃ 平気さ 君がいなくても〜奥さん出て行ったんやろ? なら台所は絶対にシンとしてるやん! じゃあ平気じゃないやん。寂しいやん! 三番に続く。〜朝、木漏れ日が優しくなけりゃ 平気さ 君がいなくても〜木漏れ日は絶対に優しいやん! 曇り空や雨の日はまず普通でも絶対に寂しいやん。晴れの日は確実に木漏れ日やん! じゃあオールマイティで寂しいやん! ものすごく弱い男の肖像が浮かび上がる。逆説の詩作の極致。ボーカルの表現力も素晴らしい。

5・或る秋の日 先行シングル。アナログで言えばここからがB面。これは再会してしまった唄。それも昔好きだった人と。酷い別れを経て、新たな恋の始まり。

 サウンドプロダクションが素晴らしい。メロディも〜初めて会ったあの日から〜のところなどとても力強い。再生の音楽。

6・これは少しづつ心が修復されていく過程を思わせるナンバー。まずアコギと、冒頭と最後のチャラチャラと鳴るパーカッションが元春本人の演奏。普段元春はそんなことしない。失恋の痛手、一人部屋に篭り、手癖のように触っていたギターが生み出したフレーズだろうか、何かを癒すようなパーカッション、一点を見つめ、無心で鳴らす様子を妄想する。

7・永遠の迷宮 これは再スタートを妄想させる。新しいパートナー。それは過去に想いを寄せた人。〜今までの隙間を 全て埋めたい〜に現れている。男は別れたとしても『自分の愛は正しかった』と思いたい。だから引きずる。次になかなか行けない。次に行くには新しい『恋』しかないのだ。『愛』はズタズタに破れているのだから。

8・みんなの願いかなう日まで 離婚しても失恋しても祝う日や祭りは関係なく訪れる。今日はクリスマス。みんなここにいる。大事な人は今ここにはいないけど、今日はクリスマス。詩を写しながら涙が出そうになる。なんというセンチメンタリズム。離婚しても新しくやり直せばいいんだ。新しい恋は前の愛を否定するものではない。それは日々、人生は続いていくものなのだから。そして人生は『楽しく』なければならない。人は一人で死んでいく。それは分かってはいても寂しすぎる。欲しいものなんて何もない。ただ君がいてくれるだけでいい。いろんなサヨナラがあって、みんな今ここにいる。今日はクリスマス。昨日まで互いに辛い日々だったかもしれない。でも祝おう。だって今日はクリスマスじゃないか。そして私は天を仰いで祈る。みんなの願いがかなう日まで。

 こんなトータルアルバムを私は知らない。これこそ一人の傷付いた男のロードムービーではないか。

 離婚、喪失、失意、傷心、再会、再生、希望。そんな魂の流れが『秋』という季節を背景に流れていく。

 これは『外』に向けて力強く放たれる、世間が求める佐野元春の『ロック』ではない。傷付き、そこから再生していく姿を描いた、哲学的な作品集だ。

 だから本作は『トータルアルバム』となった。ミニアルバムだよ、と本意ではないような強がりも含めて。

 

或る秋の日(受注生産限定盤)

或る秋の日(受注生産限定盤)

 

 

2019・9 だめなやつら福山旅行6

 汗だくになりながらカメラを手に福山城天守をぐるりと歩く。

「痛っ!」

 相棒の奇声。振り返ればきゃつは松の葉に頭をぶっ刺していた。おもろすぎて爆笑。

 収集しているお城メダルも買えた。ホテルで販売していた城郭復元写真集も買えた。ホクホク顔で城を後にする。

 そして商店街へ足を伸ばす。調べておいた児島書店さんへと向かう。

 

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 ここは素晴らしかった。角川の絶版文庫も多く、横溝正史の棚もあった。最近の私はブックオフでは刺激が弱い。やはり老舗の古本屋さんは血がたぎる。

「ああっ、あああっ!」

 

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 日頃から甲賀三郎、と呟いているので、神が引き合わせてくださったとしか思えなかった。改造社版の日本探偵小説全集二冊組みの箱付である。

 ちょっと値が張ったが、なかなか出会える本ではない。思い切って購入。私の顔が貧相で貧乏臭いオーラを醸し出していたのであろう。ご主人がオマケで春陽文庫を付けてくれたのが有難かった。

 ここの店主さんが気さくな方で、街のことを色々と教えてくれた(気付いたら一時間も話し込んでいた!)。

「福山ってグルメってなんですかね?」

「福山はこれ、といって無いんですよ」

「広島風お好み焼き、みたいに、広島県に吸収されるんでしょうか?」

「まぁ、昔の話、お役人の目を誤魔化すために、お弁当箱の上下ご飯とご飯の間におかずを挾む、というのがあるんですけどね」

 この前行った津山は『ホルモンうどん』を街で売り出し、これはもう結構広まっているB級グルメだろう。津山城の近くにホルモンうどんの店もあった。

 福山はその歴史を尊重して、ご飯とご飯の間に和牛のステーキか焼肉を挾む、というのはどうだろう。ギャルがインスタ映えを狙って、その福山の風習が脚光をあびる可能性もゼロでは無いはずだ。

 三人で長く話し込んでしまった。雨も降り出してきたので礼を言って次に向かう。

 お世話になった福山ステーションインをチェックアウトし、次の目的地へ。と言っても観光地ではなくブックオフだが(笑)

 

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 ここでは二冊購入。

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 出版芸術者の『ふしぎ文学館』シリーズは、私にどストライクなシリーズで、未読作家、吉行淳之介を買う。これはコンプリートしたい病がフツフツと(結構な巻数があるはず)

 そして吉村萬壱先生の『ボラード病』もタイトルに惹かれて買う。どんな話か想像もつかない。

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  そして次の古本市場へ。もう現代、この令和。ブックオフ古本市場しかチェーン店は無くなってしまった。

 十年前、街がこんなことになるなんて思ってもみなかった。配信の時代、断捨離の時代、そして一億総貧困の時代。

 この写真も十年後にはどうなっていることやら。介護施設に変わっているかもしれない。

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 そうして福山では最果てのブックオフへ。海が近いのか潮風が心地よい。思えば遠くへ来たもんだ。

 ここでは私のもう一つの秘密の趣味である専門書が格安で三冊ほど買えたので、本当に来た甲斐があった。

 そして二時。ようやく昼食。インターで尾道ラーメンを食す。ワシら、ラーメンばっかりかい!

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ンマーイ!(合唱)

 岡山まで帰ってきた。夕暮れ時、ここで私は相棒に提案する。

「金平、悪りぃ、岡山で途中下車してもかまへんか?」

「どこ行くねん」

「前から行ってみたかった古京文庫さんに行ってみたいんや」

「おお、ついでや。付き合うぞ」

 そうして行ってはみたものの。

「外出中!」

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 どこまでツイテいないのか我々は。前世で極悪人か何かだったのであろうか。

 しかしここまで来て帰るのも勿体ない。我々は少し離れた場所に停めてハザードを点灯させた。

 待つこと30分。

「なぁ、呉。こりゃ古本の買取か何かで時間かかってるんやろう。もうすぐ一時間になるぞ。諦めて帰ろうや」

「それもそうやな、残念やけど」

 私は名残惜しげに両手で目の横を覆って店内を恨めしそうに見る。絶対に良い古書店だ。ムードでわかる。

 私は駄目モトで横の自宅のインターホンを最後に押してみた。悪あがきもいいとこである。

ピンポーン

『はぁーい』

『外出してないやんっ!(寝てたんかい!)』

 店主は慌てて店の電気を点ける。

「いらっしゃい」

 まぁ結果オーライ。入れてよかった。

「はぅあ!」

 そこは桃源郷であった。探偵小説好きならもうメロメロのラインナップである。

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「あかん、軍資金が足りん。今度五万くらい用意して出直そ」

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 甲賀三郎掲載の雑誌『キング』などを購入。良い買い物ができた。

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 そうして岡山姫路間で最後の岡山のブックオフへ。ここまでくるともう互いに眠たくでヘトヘトであった。

 さぁ、この旅の途中、何度か話をした『我が妻との闘争』のコミカライズ版が進行中であります。

 年内には発表できる予定ですので、どうぞ皆様よしなに。

 そして私もノートに『タイムリミット』というお話を載せました。また、この手の短編が集まったら、短編集として一冊に纏めたいですね。

 ここで福山旅行編、堂々の完結。50を迎え、体力の減退を如実に感じました。次は途中に赤まむしをチャージした方がいいかもしれません。

 あくまで予定ですが、来年は相棒を『彦根城』に引き回してやろうか、と画策しております(笑)

 それでは皆様、次の活動報告までしばしのお別れです。皆様が健やかでありますように。

〜完〜

 当日最後の動画。

 


だめなやつら福山旅行3

2019・9 だめなやつら福山旅行5

 前日、下戸であるにも関わらず、ちょっと小洒落た店でキンキンハイボールを調子に乗って二杯も飲んでしまったので、その夜の記憶は曖昧であった。

「なぁ金平、ワシいびきかいてたか?」

爆音じゃ!

 友の目はマジでイカリング(怒りの最上級)であった。

「まぁそんなに怒るな。気を取り直して福山城行こか」

「みんなが城に行くの嬉しいと思うなよ」

 腰痛持ちの友はブツブツ言いながら付いてくる。気温は高く、少し歩いただけで汗が吹き出した。

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「おお!見えた見えた。素晴らしい」

「今回は山城じゃなくてホンマに良かったわ。ホテルから歩いて五分も最高やし」

 福山城天守こそコンクリート再建であるが、入り口に当たる伏見櫓、門は当時のまま残る貴重な遺構だ。

 本丸をぐるりと見渡す。そして城撮影の為に導入したニコンの一眼レフでバシバシ撮りまくる。

 じっくり味わいながら天守に向かう。そこで我々は信じられない看板を目にした。

ああっ!

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 なんと工事中であった。はるばる姫路からやってきて、この仕打ち。神よ、貴方は我々にどれだけの苦難を与えれば気がすむのですか。

「なんてこった。最上階から街を見わたそうと思ってたのに、なぁ」

「ん?」

 私は友の表情を見逃さなかった。振り向いた瞬間、きゃつは能面のような表情に戻したが、それまでは確かに微笑んでいたのである。

「お前、今喜んでなかったか?」

「暑いからな、5階まで階段で上がらんでもええやん」

「なんちゅう消極的なことを。頂上からの眺めが最高なんやないか」

「まぁ下調べしてないプロヂューサーさんのせいやな(笑)」

 ぐうの音も出ない。まさかこのタイミングで工事とは。がっくりしながら建物の奥を見ると

あ、ああっ!

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 私が集めている城メダル販売機があるではないか! ここでなんとか精神の均衡は保たれたのであった。

 私はホクホク顔で打刻機にメダルをセットする。これだけでも収穫であった。

 ここで福山城の感想を書き残しておこう。決して悪意でディスる訳ではない。愛のある意見だと思っていただきたい。

 これは街で何人かと話をしたことを含めて、のことだが。まず福山は駅前の真ん前にあるモールのビルが閉店したままになっている。

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 これがとても惜しいし、寂れた印象を旅人へ強烈に残す。そして市民はこの先に控える福山城400年祭に対しても『城ばかりにお金を使って』という意見が案外多いそうである。

 税金を城ではなく、駅前の活性化に使って欲しい、という意見が多いのだろう。

 市民が福山城にそれほど思い入れがない印象を受けた。それは朝の本丸でも感じた。天守に近づいて見ると、天守の真ん前に職員か業者かの軽四が駐車してあるのだ。

 仕方なく一枚撮ったが、絶好の角度に異質な軽四。歴史散策に来ているのに、福山城関係者はその辺の意識が薄いのだろうか。一般車は乗り入れできないはずだ。

 江戸時代の建物を写真に収めたいのに、その前に車を止める。姫路城、金沢城、熊本城ではまずそんなことはなかった。

『どうせコンクリートの再建だし』

 くらいの温度なのであろうか。それでも豪壮な伏見櫓、本丸門は貴重な建物である。

 地方創生に城は有効である。相棒と行った愛媛の松山城は賑わっていた(逆に宇和島城の市民の城に対する温度の低さは観光客数に如実に現れ、感じ取れた)。城を中心として街が盛り上げているところは活気があった。

 城ばかりに金を使って、という意見も否定はしない。だが平成を終え、令和の今の日本はどうか。

 どの街に行っても同じ牛丼屋、同じ眼鏡屋、同じ看板のコンビニ。同じ風景である。何が街の差を生むのか。それはその街特有の城、である。

 福山城内の寂れた感じ、30数年前に母親に連れられて行ったが、展示物は恐らく変わらぬままであろう。

 本丸には広場があるのだ。日曜には市民フリマなどを毎週開催すれば良い。城を動線とするのだ。このメルカリ時代、売りたい人はたくさんいるし、安く買いたい人もこの不景気時代にはもってこいだ。

『城に行けばなんか楽しいことがある!』

 と思わせるのだ。露天も出せば良い。そして福山城の建物はコンクリート再建だ。中央にある復元櫓、湯殿も閑散としている。

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 これも暑い日には建物前にミスト扇風機などを置き、湯殿の湯煙を演出する、とか。

 西端にはこれも寂れた鐘櫓が寂しく建っている。

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 これもどうせコンクリートなら解放して、二階に鐘を吊るすのだ。そして『愛の鐘』みたいな張り紙を添え、訪れる夫婦、カップルが二人で鐘をつき盛り上がる。みたいなことも楽しいではないか。少なくとも閉鎖したまま何もしないよりは。

 私の印象は『色々勿体ない』そして『城に力を入れていない』であった。

 なんか今宵は色々語ってしまったな。真面目か!

〜続く〜