呉エイジ 秘密の探偵小説読書日記

日記と探偵小説の読書録

舞城王太郎『熊の場所』を読む

 昨夜、仕事帰りにブックオフへ寄り道して、というのも、これを書いている現時点、世間ではコロナウイルスで大騒ぎであり、外出はなるべく避けましょう、といった自粛ムードに包まれ、会社に対しても感染リスクを避けるため、大好きなスポーツジムをお休みしているのでありますよ。

 春になればウイルス、消えてくれるでしょうか。学校は異例の長期休みに入りました。こんなこと、今までになかったことです。

 ここは日記の役割も果たしておりますので、晩年、このブログを読み返し『あぁ、あの時は大変だったな』と、よれよれの老人となった私は机から立ち上がる時、ワザとふらついて、デイサービスのお姉さんの胸へ寄りかかるようにして立ち上がるのです。それだけが唯一の楽しみ、って誰が唯一じゃ。

 老後は積ん読本をせっせと消化する日々なことでしょう。

 で、ジムを休んだので読書です。舞城王太郎熊の場所』を買ってきました。

 

熊の場所 (講談社文庫)

熊の場所 (講談社文庫)

 

 

 『熊の場所』『バット男』『ピコーン!』の三本入り短編集です。

 昨日は『熊の場所』を読んだのですが、舞城作品、ちゃんと読んだのは初めてでして(屋根裏部屋に本はあるが)中編だったのですが一気読みでした。

 ちょっと新しい刺激を受けましたね。まず文体。これが独特で一番の魅力でしょう。スピーディーで饒舌。で、切羽詰まった観念が時折ユーモラスにも映る。

 これは多大な影響を与えていることでしょう。到達できるかは置いといて、真似したくなりますもんね。

 メフィスト賞作家なので、ミステリの要素もありました。厳密にはミステリではないですが、この方は、もうそういう次元の小説ではないでしょう。

 謎のクラスメート、秘密を知ってしまった少年、その子の家の庭には缶ケースに切り取った大量の猫の尻尾が。

 少年は恐れおののく。しかし逃げない。恐怖と対峙する。そこで逃げれば、二度とその恐怖を克服出来ないからだ。

 ちょっと、どういうジャンルの話になるのだろう。私の読んできた小説では、適切に言い表せない。文脈が全く違うのだ。

 で、面白くないのか? と聞かれたら『いいや、面白い』と間違いなく返事をする一本。

 気が、熱い気が連続して持続する文体。こういう文体に出会うと『読んでいる途中で温度の変わる人は下手だと思っちゃうんだよなー』とプロ、アマ問わず知らしめてくれる。

 残りの二本も楽しみである。オススメしちゃうよん!

 

熊の場所 (講談社文庫)

熊の場所 (講談社文庫)

 

倉知淳『皇帝と拳銃と』を読む

 創元推理文庫倉知淳『皇帝と拳銃と』を読んだ。四本入りの短編集である。

 

皇帝と拳銃と (創元推理文庫)

皇帝と拳銃と (創元推理文庫)

  • 作者:倉知 淳
  • 発売日: 2019/11/11
  • メディア: 文庫
 

 この作品は倒叙ものと呼ばれる形式で、刑事コロンボでお馴染みの、先に犯人の犯行シーンを見せ、警察や探偵がどのようにして真相にたどり着いたか、が見せ所の作品。

 犯人は犯行がバレないよう、必死になって偽装するし、隠し通そうとする。犯罪を犯した奴など罰せられれば痛快なはずなのに、この倒叙形式という奴は、犯人に感情移入してしまうところがあり、有能な刑事、ここでは死に神のような風貌の乙姫警部(名前のギャップも面白い)とイケメンの若い刑事、鈴木刑事が犯人に対して、何度も、しつこく、自宅や職場を尋ねてきて、チクリチクリと痛いところを質問してくる度に、読む方もドキドキしてくる、そういう面白さがあるのだ。

 犯人が最初に『完璧だ!』と思いながら犯行を犯しているので、その経過も一緒に読者は見て理解している。どう考えたって見破られるはずが無い。だのに『そんなこと気になるの??』『そこを更に気になられたら困る』『ヤバい』と、警察の追求が重なるにつれて、読む方が『捕まりたくない』と思いだすのだ。

 ここから先はネタバレを含むので、未読の方や読む予定があればスルーでお願いします。

 まず個人的に好みの作品は『運命の銀輪』物理トリックよりも、心理的に納得できる追求が好みなのだ。

 この作品の決め台詞に毎回ではないが『最初から疑っていました』というのがある。私に置き換えて説明しよう。私が共作者である相棒の金平を、完璧な方法とアリバイで殺害した。自分で殺したので、相棒の死は当然知っている。警察が最初に訪れた時、カマをかけて『金平さんが亡くなられまして』と振ってきても、内心の私は『誰に殺されたんですか? と聞き返すものか』と思いながら警察と対峙している。

 しかし、だ。編集部からの第一報で『金平さんが亡くなった、それも他殺らしい』という電話を貰い、それが警察の来る前だったので『尋問より先に知っていた』と私は警察に説明した。

 しかしこの作品の乙姫警部は、私の携帯電話の利用履歴を調べ、一度も金平に電話をかけた形跡がないことに不審を抱く。

 そこまで仲の良い相棒ならば、編集部から亡くなった、という報を受けたら、確認するために電話をするはずだ。なんだ誤報か、良かった。という確認の電話を金平にするはずだ。それをしないのは、自分が殺してその情報が正しいことを既に知っているからだ。という指摘。なるほどな、と。偽装が完璧すぎて、人間の心理を見落としてしまい、そこを突かれ瓦解していく。そういうところが面白いのだ。倒叙推理は。

 二本目の『皇帝と拳銃と』は、これも犯人の追い詰められる過程での心理の声が読みどころとして面白い。

 三本目の『恋人たちの』は、逃げ切れると思えた犯行を、警部の執念深い徹底トンデモ科学捜査でひっくり返る様が重厚。

 四本目の『吊られた男と語らぬ女』は、ここにきての変化球。動機がぶっ飛んでいるが、そういう心の症例なら、ありなのかな、とも思う。意外性からの逆の組み立てな作話で、ミステリ作品だから、多少はね、人間性をねじ曲げても。パズル小説ですから。

 以上四本、どれも楽しめた。『えっ? これ完全犯罪でしょ、これ覆せる?』と思いながら読み進めて、警部の質問に金玉が縮み上がる、そういう楽しみ方ができる一冊。オススメしておきましょう。

 

皇帝と拳銃と (創元推理文庫)

皇帝と拳銃と (創元推理文庫)

  • 作者:倉知 淳
  • 発売日: 2019/11/11
  • メディア: 文庫
 

甲賀三郎『羅馬の酒器』購入

 甲賀三郎の単行本『羅馬の酒器』を落札した。水害にでもあったかのようなダメージ本であるが、本来なら五桁の古本である。百円スタートから四桁で競り落とした。

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 触る度にポロポロと崩れていく。箱は仕方ないが、本はなんとか原形を保ち、丁寧に扱えば分解せずに読めそうである。

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 短編集だ。まー、甲賀三郎の不遇さったらない。戦前は江戸川乱歩と肩を並べる好敵手であったのに、乱歩と比べると復刻状況は悲惨なものだ。戦前の三羽がらすの一人、大下宇陀児にもそれは言える。

 同時代作家である夢野久作久生十蘭小栗虫太郎海野十三、など、ほぼ全容が掴める全集が出ているというのに。

 本屋の減少、出版不況、日本の貧困化(文化含め)等を眺めていると、私も今年五十だが、生きているうちに完全版全集が出る望みも薄くなってきた。

 頼りは論創ミステリ叢書シリーズと、盛林堂ミステリアス文庫だけである。河出文庫が『蟇屋敷の秘密』を出してくれた時は小躍りしたものだが、後が続かなかった。あのシリーズも新刊は止まっている。売り上げがよろしくなかったのであろうか?

 まぁ私が定期的に甲賀三郎と呟き続ければ、誰かの耳に残り、それはやがて呪いや怨念となって、誰かに憑依し、私の死後、復刊を気に掛けてくれる後継者が、この広いネット、一人くらいは現れてくれるであろう。

 そうして、このブログの方向も、少し変更を加えることにした。

 買ったまま積ん読になっている論創ミステリ叢書シリーズを、頭から読んで感想を残す&日記、という体裁であったが、レールに縛られることを嫌い飽きっぽいB型の私には無理であった。その日の気分で読みたい作家が変わるのだから仕方がない。

 なので、論創ミステリは大きな目標として残し、ランダムに読んだ作品の備忘録と、自身がセルパブ作家なので、AmazonKindle本の紹介、最新の動向、私の本にまつわる話題はこっち。CDに関する話題と裏呉エイジは(笑)『だめなやつら』と棲み分けていこうかと思っている。

 セルパブ関連ではこれを紹介しておこう。

 

 最新の動向をチェックすべく、読んでみたら思いがけず自分の名前にぶつかった。投票してくれた方々は知っているセルパブ作家さんである。こっちは投票の仕方とか知らなかった。義理を欠いてしまった。

 こういう本で紹介されて、自分の本の売り上げに繋がってくれたらなー、と思う。私にお金が入れば、古い探偵小説を買うだけのことだ。本を書いて本を買う。至って健全な使い道である。

 しかし、こういうランキング本で一位を取るのは大変だろうな。芥川賞を懇願する太宰のように、主催者側に泣きついてみようかな。いやいや、そんな政治的なことをせず、腕を磨け、ということだ。

山田佳江『感情買取ドットコム』を読む

 

感情買取ドットコム

感情買取ドットコム

  • 作者:山田佳江
  • 出版社/メーカー: オルタニアノベルス
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: Kindle
 

 

 月の小遣いから嫁さんは容赦なく千円引いていく。それはクレジットカードでAmazonのアンリミの請求があるからだ。実際は千円未満だから年間数百円の損をしている。それを言えばきっと

『またアンタはケツの穴の小さいこと言うて』

 と、現代の放送コードでは色々と問題のある発言をすることは容易に想像できた。

 なので黙っておくことにした。

 そのモヤモヤした気持ちをこうやってブログにぶつけることにする。ブログタイトルは探偵小説だが、右に表示されるカテゴリ欄にKindleの項目も作ってある。

 基本は探偵小説好きだが(それも物故作家ばかり)、五十になって視野も広がった。年間数百円の損を、同時代で創作する人との出会いに繋げようではないか。こういう動きで、また残りの人生、楽しくなるかも知れない。

 今回読んだ本は山田佳江さんの本。もう一つのブログ『だめなやつら』で書いた『#精神のなんとか』の主催者さんだ。イベントの告知ツイートを見てハッシュタグ付きツイートをしたら、私の作品も掲載してもらえた。利害関係は全く無い。この記事は純粋な読書レポートである。

 今回読んだ『感情買取ドットコム』ほとんど一気読みだった。これは重要で、私は乱読するが集中力が続かない。典型的なB型人間である。

 面白くないと途中でも平気で投げ出してしまう。

 本作は文章もそうだが、読み手を引きつける、興味を持続させる技が巧みで、色々と女流作家の方程式を考えさせられる、よい読書経験となった。

 まずタイトルにある感情買取、この設定が面白い。SFほどハードなものではなく、スマホのアプリで人間の感情を売り買いできるのだ。インカメラの眼球スキャンによって。

 これがメルカリ的で実にありそうなものとして描かれる。科学的には無理もあろうが、全然そんなことを感じさせない。

 主人公の中年男性は今でも愛してる妻と別居五年目を迎えている。愛が強すぎて、上手くいかない感じの夫婦生活であったのだ。

 その別居する妻は不定期に男を部屋に呼び出す。ワインを一緒に飲む口実をつけて。そうしてセックスもする。読んでいて『なら復縁したらいいじゃん!』と思うのだが、様々な要因が重なって元の鞘には収まらない。

 この辺りの『焦らし』が実にイイ。

 中年男性に恋する部署の後輩女性は、明るく気持ちを伝えてくる。感情買取のアプリを教えてきたのも彼女だ。

 未練を買い取らせれば、自分に振り向いてくれるのではないか? そういう打算も働いている。

 生殺しの男は(そりゃそうだろう)妻への未練の気持ちをアプリで査定してみる。すると、桁違いの買い取り価格二百万円の表示が出てきた。

 男は『この苦しい気持ちが消えれば、新しい恋、新しい一歩が踏み出せるのではないか』と思うようになる。

 そうして一大決心をして気持ちを売り払ってしまう。嘘のように心の中の霧が晴れる。会う度にドキドキしていたのに、玄関先で見る妻は普通に年齢を重ねた中年女性であった。

 気持ちも晴れて男は離婚の手続きもスムースに行えるまでになっていた。

 そこで目にした感情のオークション。三百万円まで高騰している。妻の感情が売りに出されていたのだ。

 妻は何を思っていたのか。俺は愛されていたのか。様々な想いが高まって……。

 というお話。よいお話は粗筋を書くだけでも引き込まれる。

 今回読みながら思ったのは、男である自分が同じ素材を扱うのなら、感情買取は、その設定でもっと笑かしにかかるだろうな、と。終始物語はリアルな男女の感情で進行していく。そこに女流作家の凄みを感じる。

 あと、セックスしてるのに、食事もするのに、定期的に会うのに、復縁しない。という話の流れに『女性のセックス』を感じた。なかなか到達させない。男ならすぐ射精したがる所を、こんなにネタてんこ盛りなのに、ゆっくりと筆を進める。ちょっと下品な形容だが、ここはいただきポイントである。

 物語に成長と希望が見えるのも良い。高いリーダビリティ、オススメの一本である。

 

感情買取ドットコム

感情買取ドットコム

  • 作者:山田佳江
  • 出版社/メーカー: オルタニアノベルス
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: Kindle
 

彦根旅行8

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 長浜城を出て、駅前から伸びる旧街道の面影を残した商店街を歩く。なかなか風情があって良い。

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 通りは結構な賑わいであった。木造と昭和初期のモダンな建造物が良好な状態で残っており、インスタ映えを狙ってか、若い女性、色気ムンムンの熟女グループがスマホで自撮りする姿が目立った。

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 この商店街では、フィギュアで有名な海洋堂のショップがあったので入ってみた。精巧なモデルはどれもなかなかのお値段で、欲しかったがちょっと手が出なかった。

 手ぶらで帰るのも寂しいので、飛び出し小僧の可愛らしいメモ帳を買って帰る。このノートに新作のネタを書き込んでいく予定。

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 商店街をゆっくり眺めていたら、あっという間に夕方の四時。慌ててショップ巡りのルートに戻る。そうして、ここのブックオフで私は遂に禁を破る。

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 この旅ではAKBのコーナーはスルーしてきたのだが、つい手にとってしまった。手に取ったら最後、ジャケットの写真に見入ってしまう。忘れよう、忘れようと努力していた、ジムで出会った『まゆゆ似の彼女』との顛末。苦しくなるだけであるし、思いだすから所有せねばよいものを、人間とは弱い。レジに持って行ってしまった。

 

 (※顛末はコチラ↑)

 

 そうして私は金平を助手席に乗せると、その買ったCDを無言でカーステレオにセットした。音量は爆音である。鳴り響くイントロ。私は涙を堪えて一緒に歌うのだ。

呉「♪パパラー、パパラー♪

金平「頼むから50のオッサンがアイドルソング熱唱するのやめれ!(一人の時やって)」

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 そうだ。女は裏切る。うつつを抜かす俺が間抜けであった。人生、そんなことに時間を使っていてよいのか? 私には金平がいるではないか。ジムで熱視線を送るヒマがあったら、金平と創作談義をしていた方が何倍も有意義ではないか。確かにまゆゆ似の彼女は可愛かったけど……。いや、それがイカンのだ。未練タラタラやないかい!

 私は夕焼け輝く琵琶湖を眺めながら、頭を切り替えた。

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呉「金平、ちょっと語らせてくれ」

金平「おぉ、ええど。なんや?」

呉「最近感動したことが二つある」

金平「ほうほう」

呉「一つは明石家さんまの番組で観たんやけど、五十代の漁師が七年間練習してピアノで『カンパネラ』弾いた話。カンパネラって知ってる?」

金平「いいや」

呉「ピアノの難解な曲らしくて、音大出た人でも演奏できへん激ムズな曲なんや」

金平「それを素人が?」

呉「そう。テレビで聴いて感動して『自分でも弾いてみたい』って思われたらしいわ。それから七年間、毎日八時間の練習。楽譜読めへんから、1音ずつ指で覚えてな。で最後、尊敬するピアニストの前で披露するんや。周囲から最初は馬鹿にされたらしいけど『絶対に無理や』って。でも完璧に演奏できたんや」

金平「そりゃ凄いな。でもう一つは?」

呉「たまにツイートしてる作家の佐川恭一さんのことなんやけど」

 

サークルクラッシャー麻紀 (破滅派)

サークルクラッシャー麻紀 (破滅派)

  • 作者:佐川恭一
  • 出版社/メーカー: 株式会社破滅派
  • 発売日: 2017/12/16
  • メディア: Kindle
 

 

金平「最近オマエ、リツイートしてるな」

呉「前回話題にした波野發作さん同様、破滅派さん(※利害関係は全くありません。ただの好みのプッシュです)っていうグループの方なんやけど、その佐川さん、自身のツイートで『○○賞二次まででしたー』って、カラッと呟いてはるんよ

金平「それが何?」

呉「佐川さんな、既に阿波しらさぎ文学賞受賞されてるんやで?」

金平「賞取ったのにまた別の賞に投稿してはるの?」

呉「普通な、文学賞受賞したらよ? それにすがると思わへん? 既に雑誌でコラム連載してはるし、小説も掲載されてるんやで? もし投稿作が落選したらマイナスしかないやん。俺が受賞できたらよ? ええ、はい、私が文学賞受賞した呉エイジです。はい、ええ、貴方は? 文学賞を受賞されていない。はいはい。紙の単著は? 無い。はい、そうですかそうですか。みたいに受賞後、天狗になってまう可能性あるやん」

金平「ひどい応対やな(笑)」

呉「紙の単著出せたことにすがる気持ちあるやん。ホンマは創作家は『常に今』が勝負やのに過去の栄光やまぐれに頼りたい気持ちあるやん」

金平「バブルの時に本出せて良かったな(笑)」

 

 

呉「選考委員もな『この方、既に阿波しらさぎ文学賞受賞されてる方やわ』『ならチャンスは他の新人の方に』って絶対になると思うやん? でも送るんやで? そこ感動してな」

 

受賞第一作 (破滅派)

受賞第一作 (破滅派)

  • 作者:佐川恭一
  • 出版社/メーカー: 株式会社破滅派
  • 発売日: 2019/07/30
  • メディア: Kindle
 

 

呉「カンパネラの漁師もそうや。佐川さんもそうや。『やり続ける』それが結果、すごい成果に繋がってる。常人を越えた思考や。毎日書こう、とは思っても、人間なかなかスイッチは入らへん。でもな、継続は裏切らへんねん」

金平「シンプルやな」

呉「オマエもそうや。オマエの『やり続ける力』も俺は怖い。旅行より家で漫画描いてる方が楽しい、言うてずっとやってるやろ。そこに圧倒される畏怖を感じるし、見習わなアカンって本当に思ってる」 

 

連載島 (ヤングキングコミックス)

連載島 (ヤングキングコミックス)

 

 

金平「嬉しいな。じゃあオマエは、今年は『読む』より『書く』を優先するんやな。前々から言うてるけど、オマエはもうインプット必要ない」

呉「いや、それは反論させて。よい書き手はよい読み手である。この持論は変わらへんねん」

 ずーっとこんな調子で創作に関する話。得がたい友である。

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 さぁ、そろそろ琵琶湖の店も最終である。今回の旅はお目当てのブツ大量購入、とまではいかなかったが、雄大な琵琶湖、木造天守彦根城を巡れて、良い旅となった。

呉「おっ、金平。あそこに近江牛の看板あるぞ。牛丼ならワシらの予算に合うんちゃうか?」

金平「ええな。せっかく滋賀県に来たんや。最後はちょっと贅沢するか」

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店員「いらっしゃいませー」

 この店は『乃木坂46が運営しているのか?』と思うくらい、厨房は若くて綺麗な女性ばかりで目を奪われる。

 メニューに目を通す。さすがに我々御用達の牛丼屋チェーン店で出てくる280円の並盛りみたいな値段ではなかったが、それでもなんとか手の届く一杯1500円の近江牛牛丼。

金平「あっ、美味しそうな匂いしてきた。これ絶対に美味しいやつや」

呉「見て見て、金平。お肉が山盛りでやってくるよ!」

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呉・金平「ンマーイ!

 少し甘めのタレが絶品であった。肉も軟らかく甘味があって口の中でとろけていった。普段食べている牛丼とは別次元の味である。

 少食である相棒も丼を片手に持ちかきこんでいる。そうして再び目が合う。

呉・金平「ンマーイ!」(本日二度目!)

呉「思い切って入ってみて良かったな」

金平「満腹、満腹」

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 姫路までの帰り道で、粘り強くブックオフを絡めて帰るルート取り。

 佐川恭一さんの単行本は今回の旅では見つけることが出来なかった。文学賞受賞後、マケプレでは価格が高騰している。佐川さんはもっと紙の単著をバンバン出していなければおかしい作家さんだ。

終わりなき不在

終わりなき不在

 

 

 定休日地獄もあったが、なんとか無事故で帰ってくることができた。神戸のパーキングエリアで少し休憩。

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 お疲れさん。さて、今回の旅で得た教訓を書き残しておこう。

・すべての中古ショップをマップで表示したまでは偉い。だが、面倒でも定休日は全部外そう。それが無理なら日程をずらすことを優先しよう。

・素泊まりの安い宿で充分だ。そして車でスーパー銭湯に行けば良いのだ。風呂は重要。翌日の疲れが全然違う。温泉には肩まで浸かって足をほぐすべき。

ご当地グルメはやっぱり最高。そこでしか食べられない物は、今後の旅でも下調べして積極的に寄っていこう。

 ありがとう相棒。ありがとう彦根。良い旅だったよ。

 

〜完〜

 

旅のオマケ

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 そうして私は小型ビートルのフィギュアを部屋に飾ろうと、箱を開けてみた。

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呉「プラモかい!」

 

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彦根旅行 完〜

彦根旅行7

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 さあ、彦根城を満喫したのでショップ巡りの再開だ。開放倉庫に到着。

 

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 お宝市場系は思わぬ品物に血がたぎり、予期せぬ買い物をしてしまい勝ちである。

 ここでは美しいフォルムの小型ビートルを買ってしまった。

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 次々とノルマをこなしていく。ハードオフももちろんチェック。

 ここで私は相棒の金平に隠れて地図を確認する。長浜城は近い。問題はどうやって切り出すか、だ。

呉「さて、そろそろここらへんでサプライズの時間や」

金平「おおっ、何か仕込んできたんか?」

呉「ジャジャーン、ここから近い長浜城に進路を取りまーす!」

金平「オマエだけのサプライズの話かい!

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 行けば行ったで、文句を言いながらでも付き合ってくれる相棒。長浜城の敷地には猫をよく見かけた。撫でてやろう、と思い近付くと猫たちはサーッと逃げる。

 ジムでまゆゆ似の彼女に熱視線を送ったことでお馴染みの、肉食系の私に猫が恐れおののいたのであろうか。全く触ることができなかった。詳細はこちら(笑)

 

 

 

金平「よーしよしよし」

呉「金平先生なんという懐かれ率!

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呉「オマエすごいな、猫寄ってきてるやん」

金平「けっこー猫には好かれてるで。東京のアパートでもベランダにウンコされてたことあるしな!」

呉「(それ、猫に舐められてるだけやんっ!)」

 猫は最後には白目になるくらい、頭を金平の足にこすりつけていた。私は離れて見ながら相棒に人徳オーラを感じ、こういう引きつける力が、漫画の仕事が途切れずあることにも関係してるのかなー、と少し羨ましく思うのであった。

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呉「おお、デカいな」

金平「また階段、急なとこか?」

呉「大丈夫、大丈夫。オマエに優しい城や。鉄筋の再建天守やから。エレベーター付きや」

金平「なら行く」

 鉄筋の天守も私は大好きである。上から眺める街並みは、かつて城下町がどのようなものだったのか、いろいろとロマンなのだ。

呉・金平「うおおー」

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 最上階は見事な眺望であった。琵琶湖を一望である。雄大な景色に心を奪われる。ちんかすのような仕事を忘れ、ノルマも忘れ、嫁さんからの束縛からも逃れ、相棒と、思いの丈の創作談義と古本屋巡り&城(笑)

 一年に一回は、このような心の洗濯をしたいものだ。

 そうして景色に見とれて目に入らなかったが、最上階の端っこにはなんと!

呉「ああっ、あああっ!

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呉「最近復元された城だから、昔ながらの記念コインは諦めてたんやけど、まさかこの城で出会えるとは」

金平「今回の旅は老舗の古本屋、軒並み定休日やったから、せめてもの神様の情けかな」

 私はホクホク顔で硬貨を投入する。

 そうしてまた打刻機で打ち込むのだ。『かねぽんと』と。

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〜つづきます〜

彦根旅行6

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 金平が自然に目覚めたことを確認し(笑)荷物を纏める。少し早いが、チェックアウトを済まし、ここを起点にして再び中古ショップ巡りを再開させるのだ。

 平日の朝なので観光客は全然いない。城内駐車場には我々だけである。気温も低く、少し肌寒い。

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 9時24分彦根城着。

 相棒の金平は、これまでに何度も城へ引き連れて行っているのに、一向に城好きになる気配がない。私のテンションの高さと、かなりの温度差がある。

 ここは日本に残る、たった12個のうちの一つ、木造現存天守が残る彦根城だ。天守といえば前に行った備中松山城の木造現存天守の感想を聞いた時でも、あいつの言い草はどうだ。

『階段が急で怖い』

『物置みたい』

 などと、まるで小学生の作文のような頭の悪い感想しか出てこなかった。

呉「おおっ、見ろ金平。当時の建物で厩(うまや)が残っているぞ! 全国でも珍しい遺構だ」

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 私はうひゃうひゃ言いながら一眼レフのシャッターを切る。馬の置物に感動する。江戸時代に想いを馳せるロマン。ここから駆けだしていったのだ。

 私は城の『建造物』が好きで、歴史にはほとんど興味が無い。城主は誰だったとか、そういう情報は詳しくはない。城の美しい造形美に惚れ込んでいるのだ。

呉「おおっ! 復元された御殿が見えるぞ! 半分木造で半分鉄筋再現らしいわ」

 金平は聞いているのかいないのか、手に息を吐きハエのようにこすり合わせながらついてくる。

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 ちょっと様子がおかしい。いくらなんでも閑散としすぎであろう。気配が全く感じられない。

呉「な、なにぃっ?!(ガッデム)

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 この日は28日である。よくもまぁこんなスポットで休館してくれたものだ。定休日は確認していったのだが、メンテナンス工事の告知まではホームページを確認しには行ってなかった。

金平「うわぁ、ホンマ残念やなぁ。見たかったなぁ。帰ろか」

 隣で金平が台本を読む棒読みの三流俳優のような口調で慰めてきた。感情は全く入っていない。

呉「アホ言うな。御殿は休館やけど、天守はやってるぞ!」

 私は相棒の後ろに回り背中を押した。本丸までは緩やかな坂になっており、石段が続いている。

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 天守はお楽しみににとっておいて、私は天守の奥にある、これも現存数では数少ない、三重隅櫓の方へと足を向けた。

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 見よ。このCGのような均整の取れた美しさ。私は歴史的背景の書かれた案内板は飛ばし、ひたすら建造物に向かってシャッターを切る。

 そこで城巡りの時は、相棒を退屈させない為に、歩きながら創作談義をするのが常であった。

金平「最近、何か読んだ?」

呉「一番最近読み終えたのは、波野發作さんの『縄文スタイル』だな」

 

縄文スタイル (破滅派)

縄文スタイル (破滅派)

  • 作者:波野發作
  • 出版社/メーカー: 株式会社破滅派
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: Kindle
 

 金平「どんな話?」

 私は手短に概略を説明する。再会すると、会えなかった間で互いに吸収したものの意見交換をするのだ。それが互いに刺激となり、自分の創作に活かせることが何度もあった。

呉「デザイン事務所の先輩と後輩の視点で進んでいってな、その二人が手がけた『縄文スタイル』という生き方の提案が、二人の手を離れて段々一人歩きしだしてな」

金平「ほうほう」

呉「で、おそらく『江戸しぐさ』への警鐘パロディを狙ってはると思うんやけど、縄文が社会ブームになってな、金になるからいろんなところが乗っかってくんねん」

金平「エスカレートギャグやな」

呉「そうそう、なんでも縄文にこじつけてな、書籍で『縄文スローセックスライフ』とか。縄文は夜が長いからな(笑)あと縄文老人ホームで悠久の時を、みたいな」

金平「そこは悪のりして目一杯書きたいところやな(笑)」

呉「そうそう。で、楽しんで読んだんやけど、作者さん、こんだけ手堅くそつなく纏めてはるのに、ツイッターで創作悩んでます、言うてはって、分からんもんやなぁ、と」

金平「なんでやろな。ワシが思ったのは、これ根拠の無い勘やで。その方短編が主体で得意なんちゃう? 長編の形を模索してはるように感じたわ」

(※波野發作さん好き勝手言ってすいません。二人は縄文スタイルをプッシュしております)

金平「オマエ、今までのツイッターから探偵小説ばっかり読んでると思ってたけど、最近は違うんやな」

呉「ちょっと普通文学にも目覚めてな。殺人のない物語も面白くて。キンドルのアンリミ入ってるから、手当たり次第に乱読しとるんよ」

金平「どうや、活かせそうか?」

呉「アップデートは常にしていかなあかんと思ってる。ネタ、発想力は気にせんでええねん。乗り物や。言葉を運ぶ乗り物。つまり文体やな。ここは新しい風を常に入れておきたいし、動向は気になるな」

 琵琶湖を見ながら城内を歩く。やはり創作の話を相棒としている時が一番楽しい。

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 会社で交わされる株や経済の話、儲け話、プロ野球高校野球、スポーツ全般の話、ノルマの話、上司の悪口、別の支店の不倫の噂(これだけは好き)(笑)

 そのような話ばかりで、実生活では創作の話などできる相手がいない。相棒の金平は私の身の周りでは得がたい希有な存在なのである。

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 そうして本丸に戻り、これも木造で現存している天秤櫓まで来た。これは珍しい橋で、時代劇のロケにもよく使われる場所である。この橋の下は空堀になっており、歩いて移動できるのだ。

 坂を上り、待望の三重天守とご対面。

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呉「う、美しい」

 私は小型のビデオカメラも回す。それをクリップで肩に引っ掛けて、歩きながら城内の様子を撮影する。ブルーレイに落として、旅の記録は毎回金平と共有するのだ。

 天守を堪能し、出口へ向かうと売店が目に入った。

呉「ああっ、あああっ!

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 私が集めている『城メダル』の販売機を見つけ、狂喜乱舞する。私はベロを出し、ハァハァ言いながら前のめりで購入する。そうして打刻マシンにセットした。

『かねぽんと』

 私は毎回こう打刻する。

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 我々は今年五十だ。あと元気に動き回れるのは、あと十年くらいかな。相棒とこの先、どれだけ日本の名所を巡ることができるだろう。

 そんなことを考えながら売店の外へ目をやる。得がたい相棒はニコチンが切れたのか、喫煙スペースで美味そうに煙草を吸っていた。

 

〜つづきます〜

彦根旅行5

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 楽しい彦根旅行の初日は、ショッカーワイングラスでファンタの乾杯をした後、コンビニで買った缶チューハイで改めて乾杯したのであった。下戸なので普段は酒を飲まないのだが、友との旅行では話は別。今回は互いの電子書籍出版のお祝いもある。

 

連載島 (ヤングキングコミックス)

連載島 (ヤングキングコミックス)

 

 

呉「夜は結局ラーメンやったな。美味しかったけど」

金平「近江牛なぁ、そこそこのコースで最低料金がお一人様3500円から、やもんなぁ」

 貧乏性の二人はベッドに腰掛けながら溜息をついた。たった一回の食事で3500円である。そんな豪華な食事、我々には完全に身分不相応だ。ジーパンの小汚いオッサンが料亭みたいなところにノコノコ出向くのも完全にアウェイであろうし。高価なスーツを身に纏った金持ち家族の冷たい視線が簡単に想像できた。我々は完全に金玉が縮み上がり、更に玉が内側にめり込んで陥没乳首みたいになってしまっていたのであった。

呉「二千円ならなぁ」

金平「今回は見送るか。この宿も素泊まり二人で5500円やもんな。夕飯一回の合計がホテル代越えるて(笑)」

呉「ワシ、チューハイ一杯で酔いが回ってきたわ。目覚ましどないしよ」

金平「九時くらいでええんとちゃう? まぁ歩きまくったし、起きるまで寝とこうや」

 そう言いながら消灯。私も9時くらいに目が覚めるだろう、と踏んでいた。この時は。

 何度か夜中目が覚め、ここはどこ? 私は誰? みたいな感じで室内、天井を見渡し、そうだ、ここは彦根であった、と安心して眠りにつき、それを何度か繰り返すうちに完全に覚醒してしまった。左腕のApplewatchに目をやると、まだ六時(笑)

 嬉しすぎて早起きしてしまう遠足の日の小学生の如くである。

「ここで起きるのはさすがに相棒には悪いか」

 カーテンの隙間から陽が射し込んでいる。天気は腫れたようだった。私はユニットバスに行き大便を済ませる。それでもまだ六時半。

「起こすのは悪いなぁ」

 カーテンをそっと開ける。なんとホテルの五階だから、彦根城は真正面から見えるではないか。私は現存木造12天守に対面できて、射精してしまいそうであった。

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呉「あうぅ。嬉しい。早く行きたい」

 隣のベッドを見る。相棒はバンザイしたままの格好で気持ちよく寝ている。声をかけて起こすのは可哀想だ。

呉「そうだ、奴の体内時計に訴えかけてみよう!」

 私はカーテンを全部開け、窓を全部開け放した。早朝の冷たい空気が容赦なく部屋に流れ込んできた。

 寝ながら相棒の眉間にシワが寄る。風はビュウビュウ吹き込んでくる。相当寒い。さすが五階の部屋だ。

金平「んーっ」

呉「あー、すまんすまん、起こすつもりはなかったんや。天気が気になってな

 私は声のボリューム二倍で相棒に話しかけた。友を叩き起こしたのでは無く、自然に目が覚めてくれたので安堵した(笑)

金平「今何時や。まだ七時やないか」

呉「いやぁ、オマエがウンコする時間とか逆算してチェックアウトのこと考えててな」

金平「その心配には及ばん。ワシ、ひどい便秘なんや。だから昨日の夜食べたラーメンセットや昼の唐揚げ定食も、出てくるのは三日後やと思うで!」

呉「女子か!

 テレビを点け、出発の身支度を始める。今の今まで気が付かなかったが、私はその時、ベッドでひっくり返りそうになったのである。

呉「か、か、金平。オマエ、ジーパンめっちゃ破れてるやんけ!」

金平「ああ、これか?」

 友は『何大きな声だして驚いてるねん』といった風である。なにこの温度差。

呉「いやいやいや、尋常じゃ無い破れかたしてるぞ。隙間から完全にパンツ見えてるやんけ」

 友の尻からはグレーのブリーフが完全にこんにちはしていた。

呉「百歩譲ってそれがダメージジーンズとしよう。それでも破れてる箇所は膝とかな、太もものところとかやな。桜木ルイがそういうの履いてたよなぁ」

金平「ダメージジーンズをイメージして桜木ルイが思い浮かぶオマエの脳細胞もどうかとは思うけどな」

呉「昨日小雨降ってたし、今から行く彦根城でベンチ座るとき、パンツに雨が染みこむやないかい」

金平「そんなもん『尻の先っちょ』だけで座ればすむことや。なんも問題あらへん」

呉「い、い、一回整理させて!」

金平「おいおいおい、またオマエ、ブログに書くつもりか? オマエのは寄り道が多いねん。読者さんは店の品揃え情報とか、城の写真とか待ってはるんちゃうか?」

呉「まず、なんで破れたジーンズ履いてるねん」

金平「気に入ってる色やさかいな」

呉「濡れたベンチに座るとき、どないすんねん」

金平「ケツの先っちょで座ればなんも問題あらへん」

呉「後ろから人に笑われたら一体どないするつもりや?」

金平「ジャンパー長いし隠れてるやろ?」

呉「オマエ今年で何歳や」

金平「50や」

呉「素材全部いただきますっ(まんまんちゃーん!)

 私は写真を撮り、手短に起こったことをツイートした。

金平「オマエなぁ、オマエのブログに登場して、ワシ、メリットいっこもあらへん」

呉「こういうのはな、読者を無理に笑わせようとして、仮にな、寝ている金平のパンツから金玉がはみ出していたのであった。とありそうな嘘を書いた所で全く面白くないねん。魂がこめられてないから。だから俺はあったことを冷静に観察する。嫁さんに怒られてる時もそうや。そうして書くときになって、バイブスを乗っけて書く。それが俺の創作スタイルや」

 そう熱く語っているうちに愛機iPhoneに通知のチャイムが鳴る。

 まだ朝の七時過ぎであるというのに、熱いリプライが数通舞い込んできた。

〜か、金平さん。く、食い込みが〜

〜呉さん、お二人がお泊まりのアパホテルの近くにあるブックオフには、古着を扱っております。どうか金平さんに新しいジーンズを買ってあげてくださいっ(号泣)〜

呉「見ろ、熱い返信が来てはるわ」

 文章で魂を撃ち抜いた瞬間であった。

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〜つづきます〜

彦根旅行4

 こんな感じの旅を十年は続けている。十年続けるとどうなるか。大抵のCDは購入済みになっているのである! そして恐ろしいことに、買ったのに聴いていない。集めることが目的となって、ただ珍しいから、というだけで発作的にレジへ持って行く。

 その時だけ脳内にアドレナリンが充満する。買ったはいいが、いつ聴こう。そんな感じでザイオン(※屋根裏部屋)には大量の本とCDで溢れかえっている。

 

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 これもいつ通しで聴く時間を確保しよう(笑)ちゃんと聴く気があるのか?!

 

行くね

行くね

 

 

呉「ハードオフは狙い目だな。さぁ、次行くか」

 

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 そうしてあっという間に夕方の五時。あけぼの書店は定休日なのであった!(涙)

金平「今回のオマエのプラン、ズタボロやんけ。歴代の旅でも特にひどいな。まぁ多くは言うまい。喧嘩になる。ワシが社長ならオマエ降格やな」

呉「ぐぬぬ

 個人経営の古本屋を楽しみにしていたのだが、今回はのきなみアウト。ブックオフに頼らざるを得ない。

 

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 そうして無理して開放倉庫までルートに組み込んだため、これが大幅な計画の遅れとなった。地図で改めて確認したら、相当遠かった。

 

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 そうしてこの店で手応えが無かったのが痛かった。時計を見ながら、また琵琶湖方面に大慌てで戻る。

 

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 朝からぶっ通しで19時半である。ひたすら店巡りで何も食べていなかった。ペコペコのクタクタで、取り敢えずチェックインをそろそろしておかねばならない。

 今宵の宿は彦根アパホテルさんだ。

 

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アパ「いらっしゃいませ」

呉「ネットで予約していた呉です」

アパ「あ、呉様、本日キャンセルが出ましたので、同じ価格でダブルの部屋をご案内いたします」

呉「ええっ? 追加料金はいいんですか?」

アパ「結構です。またご利用ください」

呉・金平「ありがとうございます!」

 思わぬラッキーに疲れも和らぐ。

呉・金平「ひろーい!

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呉「広い方で二人並んで寝るか、狭い方で二人並んで寝るか……」

金平「別々に寝る選択肢は無いんかい!

呉「どうする? まだブックオフは開いてるぞ。荷物だけ置いてギリギリまで攻めるか? それとも早めに休むか?」

金平「いいや、どのみち素泊まりやろ? 飯も外に出るんや、なら目一杯回っとこ」

 そうして飲まず食わずで再びブックオフへ。

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呉「あら? ナビではまだ営業時間中のはずなんやけど」

金平「もしかしてホームセンターは閉まっててて、二階のブックオフだけやってるパターンとか?」

 

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呉・金平「開いてた!

 

 そうして店内に蛍の光が流れるまで物色。夜の十時である。とても五十歳の旅の内容とは思えない。

呉「ヘトヘトやな」

金平「ヘトヘトや」

呉「前回の福山旅行な、部屋に備え付けのユニットバスに入っただけやったやろ?」

金平「あの旅は疲れたよな」

呉「やっぱ風呂が重要やと思うねん。スーパー銭湯行かへん?」

金平「ええかも。足とかむくんでるもんなぁ」

 旅は宿と風呂だ。宿は広い部屋を確保出来た。あとは風呂で疲れを取れば完璧だ。しかしこの時はまだ、金平に災いが襲いかかってくるなどとは、予想もしていなかったのである。

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呉「おお、帰り道にスーパー銭湯が!」

金平「ええな。ここに行こうや!」

 二人仲良く並んで入店。中は大層な賑わいを見せていた。私が熱い風呂が苦手なので、37度の湯があるのが有難かった。

金平「オマエ、ぬるいの好きか?」

呉「そうやな、熱いの苦手やな」

金平「もうちょっと熱い方が気持ちええど。この隣の炭酸泉入ろうや」

 そうして金平に誘われて炭酸泉へ。しばらくすると身体中に炭酸の泡がまとわりつき、身体がポカポカしてきた。

呉「血流が四倍になるらしいな。こりゃ気持ちええわ」

金平「な、40度くらいでも気持ちええやろ?」

 二人で並んで足を伸ばす。やはり銭湯は正解であった。

呉「せっかくや、露天風呂の向こうにあるサウナ入ろうや」

金平「ワシはサウナは苦手やねん」

呉「まぁそう言わんと。せっかくや、二人で入ろうや」

 そうして無理矢理金平をサウナの中へ引き込む。充満するスチーム。そして煙の奥にはオケが。

呉「なんやこれ?」

金平「塩や、ここ塩サウナやってさ」

 サウナの真ん中にオケがあり、そこに塩が山盛り盛られていた。

呉「えーなになに? 塩を身体に擦り込んでください? デトックス効果が見込めます? やってみっか」

 二人は両手一杯に塩を掬うと、身体中に塗りたくった。

呉「金平、スキンヘッドにも塗り込んでみろや(笑)」

金平「こうか?」

 この悪のりがいけなかった。銭湯から出て、車に乗る。しばらく走ると金平が奇声を発した。

金平「く、呉っ、すまん。車を停めてくれ」

呉「ど、どないしたんや?」

金平「あ、汗が止まらんっ!

 見れば金平の顔は大量の汗にまみれていた。てっぺんから汗が噴き出し、目を開けていられないくらいであった。調子に乗って頭に塩を塗り込んだからだ。

金平「タ、タオルで拭かねば」

 汗にまみれてナメクジのように溶けてなくなるのではないか? というくらいの勢いであった。

金平「オマエが塩を頭に塗れ、いうから大変なことになったやないかい!」

呉「デトックス効きまくってるやないかい。オマエ風呂とかどないなってるねん」

金平「ワシは漫画家やから外出歩かへんやろ。だから風呂は週一回や」

呉「少なっ! オマエ、歩く老廃物やったんかい!

 友は何度もタオルで汗を拭き取っている、が汗はとめどなく流れ落ちた。サウナと炭酸泉のダブルパンチが効いたようだ。私は日頃からジムに通っているから、至って平常運転。クリーンであった。

金平「お、おまえ、こういうこともブログに書くんか?」

呉「当たり前やろう。こういう作ってない出来事がオイシイんや」

金平「ワシのイメージ下がるやんけ。オマエのブログに登場して、ワシなんも得があらへん。それにオイシイってなぁ、ワシ芸人ちゃうわい。漫画家じゃい」

連載島 (ヤングキングコミックス)

連載島 (ヤングキングコミックス)

 

呉「漫画家でも芸人要素あった方がええやろがい!」

 だんだんと声が大きくなり、ヒートアップする二人。イライラは頂点に達しつつあった。

呉「か、金平。ワシら、日付変わりそうやのに、晩飯食うてないやんけ。だからイライラしてるんや。飯行こう」

金平「ホンマや、風呂でリラックスしすぎて晩飯の時間、とうに過ぎてるな」

 そうして空腹から来る怒りを抑え、ホテルまでの道のりで一軒のラーメン屋さんが目に入った。

呉・金平「ここにしよう!」

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呉「金平、メニュー見てみ、こってりラーメンや」

金平「あぁ、ええ匂い。ここ絶対に美味いで。あっ、運ばれてきた」

 

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呉・金平「ンマーイ!

呉「ニンニクが相当ガツンと効いてるわ」

金平「スープ超美味い。完飲できるわ」

 知らずに入店して、実は閉店時間ギリギリだったのに温かく迎えてくれてありがとうございました! 豚人さん! むちゃくちゃ美味しかったです!

 そうして満腹になりアパまでの帰り道に、調べ漏れていた中古ショップを発見し寄り道し。

 

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 激突しても二人は小6からの仲良しさんではないか。ホテルに戻って昼間に買ったレアなショッカーワイングラスで仲直りの乾杯をしたのであった。

 

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 カッコつけてるけど実はファンタだけどね!

 

〜つづきます〜

 

彦根旅行3

 一軒目のハードオフブックオフの攻略を終え、旅のしおりに従ってiPhoneにグーグルマップの行き先を設定する。次はブックオフではなく個人経営の古書店だ。

 

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 車で移動すると雄大な琵琶湖がお出迎え。海のようだけど潮風ではない不思議な感覚。街はこじんまりしていて商店街もシャッターだらけではなく機能しているのが良い感じ。路面電車も趣がある。

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 時間があれば、こういう商店街も端から端まで歩きたいのだが、いかんせん時間が無い。泣く泣くスルー。

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 ここは学術書が多かった。山岳関係の書籍が多かったのも印象的。破格値のワゴンに文庫が並ぶ。古き良き古書店である。店内に入った瞬間の古本の匂いもたまらない。

 そして次へ。マップによれば高校の近くにあるチェーン店ではない古本屋である。

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呉「ああっ、嗚呼ッ!!」(涙)

 入り口にはカーテン、そして無常にも『火曜定休日』のお知らせが。

金平「オマエなぁ、また定休日確認せんと旅のプラン立てたんか?」

 とてつもない衝撃が私を襲う。ホセ・メンドーサに打ち砕かれたカーロス・リベラのテンプルかの如く。

金平「日頃の行いで神様云々とか言うてたが、日頃の行い、オマエ悪いんかもな。浮気性やしな(笑)」

 

 

呉「あぁー、サンバルカンのポスターとか貼ってる。絶対に俺好みの古本屋さんやわ」

金平「気を取り直して次行くか。天罰もここまでやろう。オマエの不運を俺の幸運でひっくり返したるわ」

 後ろ髪を引かれる思いで、その際、頭頂部から数本抜け落ちて、って誰が『頭頂部少なくなりましたね』じゃゴラァ!

 

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 時間は13時33分。お宝倉庫と向かいにはまんが古本屋が見えた。

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呉「何がワシの幸運じゃ! まんがひろば定休日やんけ! オマエの幸運も大概やのぅ! 幸薄人生やのぅ!」

金平「オマエの旅のプランがいつもアバウトやから、こうなるんやろうがい!」

 店の前で一触即発である。悪態をつきながら金平は、先ほど買ったコンデジで店を撮影し始める。

金平「あれっ? あれれっ?」

 移動中、シガレットソケットから充電して満タンにしていたのに、数枚撮影しただけでバッテリー切れとなったようだ。そりゃ十年前のバッテリー、へたっていて当然であろう。結局この旅では、五分ごとに充電せねば撮影できないという、ウルトラマンに毛の生えた程度の活動時間なのであった。私に悪態をついた天罰であろう。

 お宝広場で店内を物色。

呉「お、おい金平。お揃いでこれ買おうや」

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 ショッカーのロゴが入ったワイングラスである。見たことがない。何かのイベントの時の記念品であろうか? 纏まった数が出ている。激レア入手困難は誇大広告ではなさそうだ。

金平「ええな、これで世界征服、読書界の席巻を願って乾杯や」

呉「赤ワイン注いで乾杯の写真、夜にツイートしよう!」

 激レア品をお揃いで買って仲直りである。店を出たら腹が鳴った。

呉「近くに唐揚げ屋さんが見えるぞ」

金平「もう腹ぺこや、そこ行こう」

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呉「おい金平、この普通の唐揚げと味噌唐揚げのセット定食が二つの味を味わえてグーとちゃうか?」

金平「ええな、じゃあそれで」

呉「僕は二個増量の大盛りで」

金平「よう食うやっちゃな」

 可愛い店員さんが苦笑しながら厨房に戻る。

 運ばれてきたのは絶対にオイシイビジュアルの、たっぷり味噌に漬かった唐揚げであった。

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呉・金平「ンマーイ!

 舌鼓。頭振り回しながらの乱れ打ちの舞、である。

呉「味噌味が最高」

金平「この普通の唐揚げも、柔らかくってタレが美味いわ」

呉「毎度お馴染みのご当地グルメの件やけど、滋賀県近江牛が美味いらしいから、この旅で一度は食べような」

金平「検索せなな」

 腹ごしらえを終えて次の店に向かう。

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呉「でっかいイオンやなぁ、マップではここにブックオフがあるらしいんやけど」

金平「姫路のリバーシティよりデカいな」

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呉「よっしゃ、店内散策や」

 そうして我々は巨大なショッピングモールに突入したのだが、まず二階の端から端まで、そうして一階の端から端までをゆっくり歩きながら探したのだが、全く見つからない。

金平「おい呉、ホンマにここか?」

 相棒の眉間にシワが走る。

呉「間違いないわい。下調べはちゃんとしたんじゃ。オマエこそホゲーッとしとらんと探せや」

 美味い物を食って仲直りしたのに、速攻で険悪なムードである。

呉「ないなぁ、三階に上がって端から端まで歩こうか」

金平「足が棒じゃ! 既に1キロくらい歩いてるんとちゃうか?」

 巨大ショッピングモールで、泣きそうな顔になった五十のオッサン二人が迷子のお知らせである。

呉「あっ、あそこにサービスカウンターが見える。ギブや。悔しいけど聞いてみよう」

 私はプライドを捨てて、巨乳でフェロモンムンムンなサービスカウンターの厚化粧熟女に声をかけた。

呉「あのぅ、ブックオフは何階ですか?」

熟女「ブックオフはこの建物を出て、道を挟んで向こうに建っている別館内にございます」

呉・金平「別館!

 金平が無駄な運動をしたため、恨めしそうな目で私を見る。

呉「ま、まぁええやないか。食後の運動や。それよりもブックオフ、もっと主張せいよ!」

 結局2キロくらいウォーキング彷徨いになった格好で、我々は遂に店を発見した。

 

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 今回の旅では90年代のよくわからない女性のCD、設楽りさ子三井ゆり杉本彩東京パフォーマンスドールなどを確保する目標を立てた。

 そうして本ではミステリ関連と、最近イチオシの佐川恭一さんの本がターゲットであった。京大のお膝元、京都からも近い。もしかしたら出会えるかもしれない。

 マケプレでは阿波しらさぎ文学賞受賞後、プレミアが付き、値段が高騰していた。

終わりなき不在

終わりなき不在

 

 

無能男

無能男

  • 作者:佐川 恭一
  • 出版社/メーカー: 南の風社
  • 発売日: 2017/04/07
  • メディア: 単行本
 

 

 これといった手応えのないまま数軒、通過する。陽は沈みかけていた。

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 ここに至ってようやく持っていないCDを確保。広末涼子である。デビューアルバムで、発売当時は相当話題になった。

 竹内まりやなど、豪華作曲陣で作られたポップなアルバムである。

 

ARIGATO!

ARIGATO!

  • アーティスト:広末涼子
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1997/11/19
  • メディア: CD
 

 ショートカット美少女はたまらない。

 

〜つづきます〜